大叔父は大リーグの名遊撃手
ツアー屈指の飛ばし屋のパターが火を噴いたことであのタイガー・ウッズやジャック・ニクラスも成し得なかったナショナルオープン連覇という偉業を成し遂げたケプカ。類いまれな身体能力の持ち主の系譜を調べると“さもありなん”という事実が見えてきた。
ケプカにゴルフの手ほどきをしたのは父・ボブさん。大学時代は彼も将来を嘱望される野球選手だった。しかし卒業後、叔父が経営するゴルフ場で働き始めると独学でゴルフを学びスクラッチプレーヤーにまでなっている。そして息子たち(弟のチェイスもプロ)をプロゴルファーに育て上げたのだ。
そしてゴルフ場を経営する叔父(ケプカにとっては大叔父)がスゴかった。50年代から60年代にかけメジャーリーグのピッツバーグパイレーツの遊撃手として華々しい活躍をしたディック・グロート氏。1960年には首位打者に輝きナショナルリーグのMVPも獲得している。
大学時代には野球とバスケットボールの両方でオールアメリカンに選ばれた唯一の選手というから、ケプカは並外れたアスリート家系の血を引いているというわけだ。
ケプカ本人も野球、バスケットボール、卓球、サッカー。フットボールなどなど、なにをやらせても人並み以上の腕前を発揮するスポーツエリートだ。
かつてタイガーに「(ケプカと一緒に回って)自分の飛距離が落ちたかったと思って焦った(苦笑)」といわしめた逸材はツアー3勝目をメジャー連覇で達成したことで単なる飛ばし屋ではないことを改めて証明してみせた。
余談だが最終日最終組でプレーしたトニー・フィナウもアスリート一家の一員。トンガ&サモア系として初のPGAツアープレーヤーとなった彼のいとこはプロバスケットボールリーグ、ミルウォーキーバックスで活躍するジャバリ・パーカー選手である。
日本では突然変異的にスーパースターが誕生するケースが多いが、近い将来には身内がスーパーアスリートというエリート選手がゴルフ界にも誕生するかもしれない。
撮影/岡沢裕行