「シャッター音のないカメラ」の登場で、ゴルフメディアのトーナメント撮影に革命が起こっている。無音だと、いったい何がどう変わる? 各地のトーナメントを取材する月刊ゴルフダイジェスト編集部のツアー担当・ケンジロウがそのすごさを語る。

こんにちはケンジロウです。アメリカのハートフォードから日本に帰ってきました。今回はU.S.オープンと、トラベラーズ選手権の2試合に続けて取材に行ってきました。向こうの取材を終えて、気づいたことをひとつ書きますね。

みなさんもトーナメントの中継をご覧になっていて気づいているかもしれませんが、試合会場にはトーナメントを撮影している「トーナメントカメラマン」という存在がいるんです。もちろん我々ゴルフダイジェストにも試合を主に撮っている契約カメラマンさんたちがいます。

彼らの撮影の内容は多岐に及んで、それこそ試合展開を追ったり、表紙になるようなイメージカットを撮ったり、定点で選手の顔写真を流したり出版社やWEBメディア、新聞社など各発注先の注文に応じて必要なものを撮っています。

カメラマンが持つ機材は、NIKONかCANONかほぼこの2つに集約されてきました。基本的には望遠のレンズと短めのワイドレンズの二つを持って中長距離と接近戦の両方に対応するように動いています。

実はそこに新たな参入者が現れたんです。それがSONY(ソニー)です。SONYは昨年からαシリーズのプロ機材のカメラに力を入れてきました。

αの一番の特徴は「無音」でシャッターが切れるということ。この“シャッター音がない”ことが実はゴルフ界にとっては大きいんです。

画像: SONYαシリーズのプロモデル「α9」。αの一番の特徴は「無音」でシャッターが切れること

SONYαシリーズのプロモデル「α9」。αの一番の特徴は「無音」でシャッターが切れること

ご存知の方も多いかもしれませんが、カメラマンはプロのスウィング中、インパクト後にシャッターを切ります。試合の規定がそうなっているので、これまで何十年という間、その慣例が続いてきました。たしかにインパクト前だと選手はシャッター音が気になってしまいますからね。

今回のSONYのカメラのように無音で撮れるということは、インパクト前にシャッターを切れるということで、アドレスからインパクトまでの写真も撮れるということになります。つまり今までにないような写真が撮れるということです。

我々ゴルフ専門誌でも恩恵にあずかっていて、試合中にアドレスも含めた連続写真の撮影ができるようになりました。もちろん無音のカメラはこれまでもありましたが、撮った写真の解像度が高く、レンズもいろいろと変えられるカメラはこれまで初めてと言ってもいいでしょう。ダスティン・ジョンソンのトップの位置の写真を大きく引き伸ばして版面の大きな雑誌で使うこともできるんです。

これは大きな変化ですよね。我々メディア媒体側の伝える幅も広がります。過去には早めにシャッターを切ってしまって選手に怒られたという話を何度も聞いたことがあります。

実際にこの無音のSONYのカメラを導入するカメラマンは増えていて、全米オープンが行われたシネコックヒルズでもSONY製のカメラとレンズを持ったカメラマンを多く見かけました。

そしてひとつさらに驚いたことがありました。メジャーの試合には、だいたいCANONかNIKONのサポートがついてトーナメントカメラマンのカメラのメンテナンスを行ってくれるんです。

カメラのクリーニングだったりレンズの貸し出し、ボディの貸し出しなどを行っています。今回はそこにSONYのブースもあって、カメラマンのサポートを行っていたんです。SONYのカメラに興味のあるカメラマンさんも今回新たにボディとレンズを試したという人もいましたね。

画像: 試合会場でメンテナンスやボディやレンズの貸し出しなども行っていた

試合会場でメンテナンスやボディやレンズの貸し出しなども行っていた

今回SONYのカメラで撮影もして気づいたのですが、今まで無かったアドレスからインパクトの写真がすべて撮れているので、一日の撮れる量(データ)が半端ないことになります。例えば今回我々が頼んだカメラマンさんが予選ラウンドの2日目に撮った枚数はなんと1万枚以上。通常は多くて5000枚でしたから、その撮影枚数だけ見ても違いがわかるでしょう。

カメラマンさんには失礼かもしれないですが、1万枚以上ある中から、玉石混交しっかりと選別して宝物を見つける作業が今まで以上に我々編集側に大事になってくると思います。

いやぁ、大変な時代になってきましたね。でもこれからはゴルフ界でも無音撮影が当たり前になる日が来る予感がしますよ。

This article is a sponsored article by
''.