まずは自分の基準となる1本を決めて練習する
グリーン周りのショートアプローチは、スコアメークを考える上で重要な役割を占めています。ショットの精度は同じでも、アプローチに自信を持っているかいないかで、スコアには大きな差が出てしまうので注意しなくてはいけません。
アプローチに自信をつけるためには、まず自分の基準となる1本を作ることが大切です。基準となる番手は何でもいいのですが、あまりロフトがないと球を上げようとしやすく、ロフトがありすぎるとミスの許容範囲が狭いので、ショートアイアンがいいでしょう。
ちなみに私の場合は、練習するときも、アプローチの距離感を作るときも、8番を基準にしています。たとえば、朝、練習グリーンに着いたら、まずピンに向かって8番で球を転がりしてみます。それでピンにピッタリ寄れば、その日の距離感は問題ありません。思ったよりもショート、オーバーするときは、8番でタッチが合うまで練習します。
そして、基準となる1本を決めたら、そのクラブでワンレバースウィング(時計の文字盤の8時から4時の振り幅)と、ツーレバースウィング(9時から3時の振り幅)を徹底的に練習します。あとは、この二つの打ち方で、色々な番手を打ってみてください。そうすれば、番手を換えるだけで低い球から高い球まで打ち分けられるはずです。
練習のときには、フェアウェイウッドからSWまで、すべての番手を使ってみましょう。色々なクラブでアプローチすることによって、自分をコントロールする能力もアップしてくるはずです。
ただ、コースに出たら、すべての番手を状況に合わせて使い分けるのは、少し難しいと思います。私も、コースでは7番アイアン以上のクラブでアプローチをすることはほとんどありません。ですので、一般ゴルファーの方だったら、SWとPWと8番とか、AWと9番と7番というように、3本くらいを使い分けるようにするといいと思います。
プロや上級者の場合、SW1本で球筋を打ち分ける人も多いのですが、それはひとつの打ち方が完全にできるようになった人の応用テクニックです。練習量の少ない人が、低い球、高い球のスウィングを本番で使いこなすのは難しいはず。それなら、ひとつの打ち方のまま、番手を変えて球筋を打ち分けるほうが簡単でミスも出にくいのです。
「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より
写真/岩井基剛