これまでタイガーが使用してきたのはスコッティ・キャメロン ニューポート2 GSS。メジャー14勝のうち13勝を支えたエースパターである。しかし今シーズンのデータを紐解くとパッティングのスコアへの貢献度を示すストロークゲインドパッティングの部門別ランキングは89位と芳しくない。
「このゴルフで少しでもパットが入っていれば間違いなく上位争いをしていた」というコメントをこれまで何度耳にしたことだろう。
そこで彼は決断する。契約先のテーラーメイドのTPコレクション アードモア3(プロトタイプ)を一週間ほど試した結果、2本のツノが特徴的な“タイガーらしからぬ”かまぼこ型を実戦に投入した。
結果は? 大会初日は2バーディ、1ダブルボギーのイーブンパー70、48位タイ。トップとは7打差と出遅れた感がある。そして注目のストロークゲインドパッティングはフィールド全体の93位。決して芳しいとはいえない。
しかし本人の表情は明るい。「いいパットが打てた。ラインとスピードが合っていた。ここのところそういう感触がなかったからこれは良い兆候。いいパットが打てていれば結果的に入らなくても問題ない」と手応えを口にした。
スコアメイクの足を引っ張ったのはむしろティショットで「ショットでチャンスが作れず耐えるゴルフになってしまった」とグリーン上でのフラストレーションは感じていなかったようだ。
ところでなぜメジャー13勝のお供を変える気になったのか?
「いつものようにアドレスしてボールを転がしてみた。するとなにか違和感を感じたんだ。フィーリングにも見え方にもズレがあった。だから(スコッティキャメロンは)少しベンチで休ませようと思ってね。またいつかピタッとハマる日がくるかもしれない。そういうことはよくあるから」
タイガーのクラブ選びの基準は厳しい。「もしなにかを変えるなら“グッド”ではなく絶対にこちらの方が“ベター”だという確信がなければならない」というタイガーにとって、少なくても現時点では代名詞のピンタイプではなくマレット型が“ベター”だということか。
全英オープンが目前に迫るなか完全復活を模索するタイガーのトライ&エラーは続く。