開催中のWGC(世界ゴルフ選手権)ブリヂストン招待。そこで取材中の月刊ゴルフダイジェスト編集部ツアー担当のケンジロウは、練習場で面白い素振りをしている選手を発見! その男の正体は?

こんにちはケンジロウです。オハイオ州アクロンのファイヤーストーンCCからお届けしております。WGC(世界選手権)予選ラウンド2日目、金曜日が終わりました。

やはり調子のいい選手が伸ばして来ましたね。イアン・ポールターが3つ伸ばして11アンダーパー。全米オープンで2位に入ったトミー・フリートウッドが7アンダーを出してトータル11アンダー。ジャスティン・トーマスも6アンダー出してトータル11アンダー、この3人が首位で並ぶ形となりました。連覇を狙う松山英樹は今日2つスコアを落として1アンダーまで後退。トップとは10打差ですからね。明日の巻き返しに期待しましょう。

注目のタイガー・ウッズは今日スコアを2つ伸ばしてトータル6アンダー。トップと5打差で現在10位タイ。虎視眈々と上位をうかがっている感じですね。週末に向けて盛り上がるな~。

さて今日の話題はと言うと、そのタイガーではありません。タイガーより深いターフをとる男、アレックス・ノーレンです。

彼のスウィングは非常に特徴があります。スウィングというよりは、素振りに特徴があるといえばいいですかね(画像1)。打つ前のシャドースウィングで切り返しから股を割るように左腰を開いていきます。それと同時に前傾をキープしたままハンドファーストに手を動かしハーフウェイダウンまでクラブを下ろします。この素振りを打つ前に繰り返しやっているんです。

画像: (画像1)素振りでは極端なハンドファーストの形を意識しているノーレン

(画像1)素振りでは極端なハンドファーストの形を意識しているノーレン

実際のスウィングになると素振りほどハンドファーストに当たっていない感じがしますが、素振りでそれぐらい意識しないと、思ったことができないんでしょうね。

この変わったシャドースウィングを他の選手たちも練習の合間に盗み見していて、マキロイなどはキャディのハリーとノーレンのスウィングについて意見交換。その素振りを真似して、何やらヒソヒソ話しています。やはりこの変わった素振りにみんな興味があるんでしょうね。

でもノーレンの動きって、今流行りの「GGスウィング(編注:ジョージ・ガンカスがYouTubeチャンネル『GG Swing Tips Golf』を通じて発信している)」の理論に似ていますよね。

体重移動してから腰を回すのではなく体重移動と同時に股を割るようにして腰を回し、肩も開いてインパクトするイメージ。ノーレンもGGスウィングの影響を受けているのかな?

練習後に彼のスウィングを打席でじっくりと見ていたコーチとおぼしき人に話を聞きました。

「彼はスウィングのコーチをつけていなくて僕はショートゲーム専門のコーチなんだ。ただ僕もスウィングのアドバイスができるので、それで相談にのってあげているんだよ。彼はこれまで自分でスウィングのことを研究して、スウィング改造に取り組んできたんだ。ノーレンはスウィングが悪くなると、左サイドが伸び上がって右サイドが落ち、そしてクラブが寝るのが悩みだったんだ。彼がやっている素振りのドリルのように先に左腰を積極的に回して、時間差で右わきを締めたまま右肩を回してくると勝手にクラブがオンプレーンに下りるようになる。そのためにはハンドファーストをキープしてくることが大事で、リリースが早いと、いい位置にクラブがおりてこないんだよ」

画像: (画像2)非常に深いターフをとるのがノーレンの特徴だ

(画像2)非常に深いターフをとるのがノーレンの特徴だ

なるほど。それでシャドースウィングであのハンドファーストの動きになるんですね。

そして会話を続けます。

「長年やってきた改造だからね。急に変わったわけじゃなく、日々の練習の積み重ねでよくなってきたんだよ。今はよりフェードが強くなって安定した球が打てている。ドライバーからウェッジまですべてこの感覚で打ってるいんだよ」

ノーレンが練習場を去ったあとにその打っていた打席に行ってみると大きな深いターフ跡が広がっていました。まさにノーレンのつめ跡。試しにそのターフ跡の深さを測ってみたら、こんな感じでした(画像3)。だいたいゴルフボールの南半球ぐらいの深さでしたね。

画像: (画像3)ノーレンのとったターフ。深い!

(画像3)ノーレンのとったターフ。深い!

いやはや。このWGC世界選手権にはバケモノみたいな選手がいっぱいいますわ〜。

写真/姉﨑正

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