難しいと感じたときには大体でいいやと思って打つ
サンドウェッジ(SW)のアプローチを苦手にしているアマチュアは多いようです。これはロフトが大きいクラブほど、ボールの赤道の下にリーディングエッジを入れにくく、ミスをしたときの幅も大きいからです。
とはいえ、コースに出れば苦手なSWでアプローチしなくてはいけない状況や、苦手な傾斜やラフから打たなくてはいけない状況に出会うことも多いはず。そのときに大切なのは、100パーセントの結果を望まないということです。
苦手なクラブを使う、苦手な状況からアプローチする。それは、プロなら10回中9回成功するかもしれないけれど、アベレージゴルファーだったら、10回に5回。ハイハンディの人だったら、10回打って1~3回しか成功しないかもしれないわけです。
ところが、ほとんどの人が、どんなときにも、「10回打ったら10回成功させるぞ」「これを絶対成功させなくちゃ」と思って打ってしまう。難しいと感じているくせに、成功を前提に打ってしまうのです。しかし、「難しい」と感じた時点で、もうすでにミスを呼ぶ「心」が出てきているのですから、無理をして頑張っても、そうそう上手くいくはずがありません。
だから、自分が難しいと感じたときには、「まあ、10回のうち5回成功すればいいや」とか「3回成功すればいいや」と思って打つ。その前に、ピンにピッタリ寄せようとするのではなく、大体寄ればいいやと思って打つのです。
これは、アマチュアだから、ということではありません。私だって難しいと思ったときには、「こんなの寄らないよ」「大体でいいや」と思いながら打っているのです。グリーン奥の深いラフから、すぐ手前にあるピンを狙うときなど、いかにも寄りそうもないときなどはもちろんですが、一見やさしそうに見える状況でも、「難しい」と感じた瞬間、もう「どうせ寄らないんだから、大体寄ればいい」と思って打つ。すると、意外とピタリと寄ったりする。
そんなとき、テレビの解説者は、「今のはやさしいアプローチでしたから」などと言うのですが、自分の心の中は、ちょっと違ったりするのです。
「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より
撮影/岩井基剛