世界1位と2位は同じフィットネスコーチに師事していた
最終日の猛追で見せ場をつくりあわやメジャー15勝目なるかと世界をざわつかせたタイガー・ウッズ。単独2位でフィニッシュすると「350ヤード真っすぐ飛ばすブルクシー(ケプカ)には歯が立たなかった」と2打差でトロフィーを掲げた相手を賞賛した。
タイガーの全盛期は“飛べば曲がる”が定説で、かくいうタイガーもショットを曲げてはスーパーリカバリーでギャラリーを熱狂させたものだった。
ところが最近はケプカにしろジョンソンにしろ400ヤード近く飛ばすのに許容範囲にボールを収めるようになった。つまり飛んで曲がらないから飛距離のアドバンテージを遺憾なく発揮できるというわけだ。
その陰には当然地道な努力がある。奇しくも2人はジョーイ・ディオヴィサルヴィ、通称ジョーイDという生体科学を極めたゴルフフィットネスコーチに師事し肉体強化を行っている。
「ジョンソンとケプカは普段からとても仲が良いのですが、ことトレーニングとなるとライバル心剥き出し。絶対に負けないとばかりどんなに辛いトレーニングにも愚痴ひとついわず取り組んでいます
」(ジョーイD)
ロードでの自転車レースやスタンドアップパドル(サーフボードの上に立ってオールを漕ぐウォータースポーツ)も彼らにとっては楽しみながらバランス感覚やコアを鍛える貴重なトレーニング。もちろんジムで重いウェートを持ち上げたり、重量のあるメディスンボールを壁に向かって投げるハードなメニューも日常的にこなし汗をかいている。
ベンチプレスでひとりが100キロを上げればもうひとりは110キロを上げるなど双方とも負けず嫌いの性格を丸出しで競うようにトレーニングに励む。「それが相乗効果になる」とジョーイDはいう。
厳しいトレーニングの光景を目にすると彼らがただ単に才能だけで飛ばしているのではなく、いかにしてゴルフに必要な筋力を鍛え上げ飛距離につなげているのかがわかる。
20年前にタイガーがゴルフシーンに登場してからアスリートゴルファーという言葉が使われるようになったが、いまやアスリートではないゴルファーはごく一部の例外を除いて存在しない。それでもメジャーの栄冠に輝くのは一握り。
競争が激しい世界で教え子のジョンソンがメジャー1勝、ケプカが同3勝を挙げ、世界ランク1位と2位を独占しているのだからジョーイDのゴルフ界への貢献は大きいといえそうだ。