プレーオフ3戦目のBMW選手権で6年ぶりの優勝を果たしたキーガン・ブラッドリー。海外での取材経験豊富な元ゴルフ誌編集長が、優勝から遠ざかっていたキーガンの6年間の苦悩と試行錯誤を語る。

長尺パターの呪解

悪天候のため、マンデーフィニッシュとなったBMW選手権。最終日に64の好スコアを叩き出したキーガン・ブラッドリーがジャスティン・ローズとのプレーオフを制して6年ぶりに優勝した。彼の叔母はメジャー6勝、ツアー通算31勝を誇るパット・ブラッドリー。

ゴルフエリート一家の中で生まれ育ったが、2011年全米プロでは史上3人目のメジャー初出場・初優勝者となり、エリートらしいデビューを果たした。それ以来、一気に世界のトッププロ入りを果たし、12年にはWGCブリヂストンインビテーショナルなど準メジャー級の大会でも優勝を遂げている。

画像: BMW選手権を制したキーガン・ブラッドリー。優勝は2012年のWGCブリヂストンインビテーショナル以来となった(写真は2018年のザ・ホンダクラシック撮影/姉崎正)

BMW選手権を制したキーガン・ブラッドリー。優勝は2012年のWGCブリヂストンインビテーショナル以来となった(写真は2018年のザ・ホンダクラシック撮影/姉崎正)

ライダーカップやプレジデンツカップのメンバーにも選ばれ、スター街道を歩み始めたブラッドリー。だが、彼の前に最大の問題がたちはだかる。2016年1月から施行されたアンカリング規制(パターのグリップエンドを体に固定して打つパッティングスタイルの規制)により、それまで長年長尺パターを使用してきた彼は、通常の長さのパターに切り替えざるを得なくなった。

しかし、長尺パターからの移行は、本人が思っていた以上に難しく、その年の賞金ランクは103位。しかもパッティングだけでなく、スウィングも崩れ、正確で長打を誇るショット力が彼の武器だったが、それすらも失ってしまったのだった。

画像: 長尺パターを愛用していたキーガンだが、2016年1月から施行されたアンカリング規制によって、パッティングスタイルを変えざるを得なくなった(写真は2018年のザ・ホンダクラシック 撮影/姉崎正)

長尺パターを愛用していたキーガンだが、2016年1月から施行されたアンカリング規制によって、パッティングスタイルを変えざるを得なくなった(写真は2018年のザ・ホンダクラシック 撮影/姉崎正)

2012年以来、優勝から遠ざかっていたが、今年になって復調の兆しは見えていた。CIMB選手権2位、ファーマーズインシュランスオープン5位、RBCカナディアンオープン4位と、少しずつトップ10入りする回数が増え、全米オープンで予選落ち以降は9試合連続予選通過と安定した成績を残せるところまで復調してきたのだ。

ダレン・メイコーチとのスウィングの立て直しも8カ月前に終わり、パッティングの改造に集中できたことが大きかったようで、彼は現在マット・クーチャーの「アームロック打法」を採用。ブラッドリー同様、長尺パターの愛好者でメジャー1勝を挙げているウェブ・シンプソンが今年のプレーヤーズ選手権で4年振りに優勝したのを見て、キーガン自身も優勝への意欲が湧いてきたようだ。

1年を通じてのストロークゲインドパッティング部門ランキングは、BMW選手権前には186位とまるで底辺を這うような成績だったが、BMW選手権で優勝した週には全出場者中なんと1位に。もともとティグラウンドからグリーンまでのストロークゲインド部門では6位と、ショットは非常に好調だったのだが、「ショットがいいので、パターに対するプレッシャーがなくなってきた」と優勝後に語っている。

こうして長年に渡る長尺パターの呪縛が解け、ようやくウィナーズサークルに復帰できたブラッドリー。

「この6年間は実にいろいろなことがあった。本当に今まで苦労してきたけど、今は言葉にならないくらいうれしい……以前は優勝しても一人で家に帰るだけだった。でも今は一緒に帰り、優勝をともに喜べる家族がいるのが何よりもうれしい」

余談だが、彼がこの6年間で変わったことが他にもある。それは、以前は神経質なまでにこだわっていたショット前のルーティーン(奇行!?)が簡略化され、グリーン上で斜めに構えながら鋭い目つきで行なっていたライン読みが、以前に比べてマイルドになっていたことだ。

昔はかなり奇人変人に思えた彼が、優勝後に妻や子供と幸せそうにハグしている姿を見て、正直ホッとしたものだ。

 

キャロウェイ

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