同時期に開催されたWGC(世界選手権シリーズ)HSBC選手権、と日本ツアーのマイナビABCチャンピオンシップ。どちらも非常に似た設計の18番ホールでのプレーオフ決着となった。どちらもパー5、距離は530ヤード前後で、右に池、左にバンカーがありドライバーショットの精度が試されるホールだ。そして比較的短く設計されたパー5のセカンドショットはどちらも池超えになる。とにかく似た設計だったが、コースセッティングの難しさの違いは明白だった。
HSBCのフェアウェイバンカーの砂質は日本のそれよりも柔らかくクリーンヒットさせるのが難しく、ボールが入ると沈みやすいコンディション。そしてグリーンの傾斜も難しく、ジャスティン・ローズの放ったグリーンに落ちた3打目ですらグリーンからこぼれて池に落ちるほどで、世界との設定の違いを感じざるを得なかった。
そんな中、圧巻だったのはトニー・フィナウの245ヤードを残した左足下がりの難しいラフからアイアンで2オンさせバーディを奪ったシーン。世界の力を改めて感じさせたショットだったのではないだろうか。ただ、日本ツアーもWGCに比べれば設定は楽めだったとはいえ、プレーオフでイーグ決着と見せ場は作った。
さて、そんな中、ここ最近優勝争いをしている川村選手の独特なスウィングが気になったゴルフファンも多いのではないだろうか。ジム・フューリックを思い浮かべた人もいるだろう。私も非常に興味をそそられたのでスウィングデータ分析をしてみた。
アドレスはクローズスタンスとすでに特徴的だ。フォワードプレス(予備動作)にヘンリック・ステンソンと非常に似た右足に体重を乗せていく独特な動きがある、そこからアップライトにクラブを上げていく。
スウィングのトップは平均に比べ深く、そして大きい。フォワードプレスもそうだが、川村選手のもっとも特徴的なのはアップライトなトップから切り返しで私が一番おすすめしているループを使い、アウトサイドだったバックスウィング軌道からダウンスウィングでみごとにオンプレーンに乗せてくることだ。フェードもドローも打ち分けがしやすい軌道だ。
そして切り返しでもう一つ特徴的なのは下半身の使い方である。柔軟かつ大胆な下半身の使い方は、より柔軟で非力な女子選手には多く見られるが、川村選手の腰の切り方は女子選手に劣らない使い方ができている。インパクト時にほぼ完全に開ききれている。
同じ力でより効率よく力をボールに伝えるのにもっとも大事なのはスピードなのだが、それを出すのに必要なのが上半身と下半身で作られるラグだ。それを男子選手ではトップクラスのラグを作れているのが川村選手だ。下半身があれだけ先行して回っているのに、上半身、そして拳は下半身に対してかなり遅れてくる。このテクニックで川村選手は他の選手よりも効率的に飛距離を出していると言える。
下半身先行スウィングは私のデータ上、もっとも取得するのが難しいテクニックだ。私も個人的に試したし、指導もしてきたが実際に下半身を先行させるのは本当に難しい。ただ、少しでもその意識、そして実際に変化があると明らかに距離は伸びるので、さらなる飛距離を求める人は試してみてはいかがだろうか。
まず腰を完全に開いた状態を作り、そしてその状態でインパクトした状態をアドレスで作ってみる。そしてそこから逆再生のようにトップに腕を上げていくと、下半身と上半身のラグのイメージが分かるので、まずそのイメージだけでも経験してみると、また違った世界が見えてくるだろう。