何よりも1発で 脱出することが大切
フェアウェイバンカーにつかまったとき、まず考えなくてはいけないのは、必ず1打で脱出するということです。ハザードは本来1打罰を払わなければならない。でも、中は砂だから、打てるなら打ってもいいですよという場所がフェアウェイバンカーなのです。それだけに無理な攻め方をして、脱出できないようなミスをしてはいけません。
基本的にフェアウェイバンカーというのは、芝の上に比べて軟らかいために、いつもより反発が少なく、球が上がりにくい。特に、ロングアイアンなど、ロフトのないものは難しく、プロでも嫌な状況と言えます。だから、一見難しく見えない状況でも、しっかりクリーンに当たって、いつもどおりの球が出ることは期待してはいけません。
まして、難しく感じられる状況であればあるほど、安全策を取る必要があります。たとえば、球がアゴにぶつかりそうな状況だったら、距離をロスしてでも、確実にそのアゴをクリアできる番手まで下げて打つ必要があるでしょう。
ただ、アゴが低いのなら、クリークやショートウッド、ユーティリティなどを使うのもいいでしょう。こういうクラブはソールが広いため、多少ダフっても距離が落ちにくいからです。状況にもよりますが、5~6番で打つ距離なら、ショートウッド、ユーティリティを短く持って打ったほうがやさしく、ミスの確率は下がります。
アイアンに関して言えば、ロフトがある程度あったほうがフェアウェイバンカーはやさしくなります。私の感覚で言うと、7~9番くらいで打つ状況、距離がいちばんやさしく感じる。逆に、ロフトがありすぎると、また難しくなります。
たとえば、SWのフルショットで70ヤードを打つ場合と、9番で110ヤードを打つ場合では、明らかにSWのほうがミスは出やすい。とくに、ウェッジで距離をコントロールしなくてはいけない状況がいちばん難しいと思います。これは、ヘッドスピードが遅いぶん、ヘッドがちょっと手前に入っただけで、砂の抵抗に負けて全然飛ばなかったりするからです。
このように、ロフトの大きなクラブは、ちょっとしたヘッドの入り方で飛び過ぎや極端に距離の落ちるショットになります。それだけミスの許容範囲が狭く、ミスの幅が大きいので、いつもよりミスの幅が大きくなることを予想して打っていく必要があるのです。
「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より
撮影/岩井基剛