MグローレとグローレF2を並べて見比べてみると、一番の違いは「(Mグローレの)カーボンクラウンですね」と中村は言う。
グローレF2はフルチタンだったが、Mグローレではカーボンコンポジットクラウンを採用。さらにソール部分にも部分的にカーボンを使用し、軽量化。「そのぶん、ヘッド内部の重量配分をつかまるように調整している」と中村。
また、F2に搭載されていたネック調整機能はなくなっている。固定ウェートの位置もネック寄りに変更され、よりつかまりが強化されているような見た目だ。
「M」シリーズに搭載されていたツイストフェースを鍛造で仕上げた「フォージドツイストフェース」を採用しているのもMグローレの大きな特徴の一つ。これにより、ミスヒットによる飛距離のロスや曲がりが軽減され、安定性が増している。
まずは堀口がグローレF2を試打。打った本人が「いい球出るね」と言うほどキレイな軽めのドローで285ヤード飛ばした。
「(球の)上がる感じもいいし飛距離も出ています。計測結果によるとミート率が1.52。ということは、ヘッドスピードに対してボール初速がすごく出ているということですよね」(中村)
続いてMグローレを手に取る堀口。グローレF2とは構えた印象からして大きく異なるようだ。
「見た目が全然違いますね。M3、M4っぽい感じです」(堀口)
そのまま打ち、282ヤード飛ばす。飛距離だけを比べると大差はないように思えるが、2本の違いはその弾道に表れた。
「グローレF2よりもドローのつかまり具合が強いですね。右にすっぽ抜けても戻ってきそうです。つかまりが強いぶん、スライサーが打ってもあまりスライスしない感じになるんじゃないかなと」(中村)
試打した堀口も中村の意見に同意する。
「Mグローレの方がつかまりはいいですし、構えた感じもスッキリとしていながらもつかまえてくれるイメージがあります。右が怖くない感じですね。一方のグローレF2はつかまりもそこまで強くなく、軽いドローで飛んでいってくれる。ハンデキャップが少なめの人だったらF2を選択してもいいのかなという感じです」(堀口)
ボールが右に曲がることで飛距離をロスしているゴルファーにとっては、「Mグローレ」は爆発的な飛距離アップをもたらす可能性を秘めているというわけだ。そこで中村が、つかまり具合の進化を確認すべく「スライサーをイメージして打ってみます」と提案。「少しカット目で、普段スライスを持ち球にしている人のスウィングでいきます」。
まずはグローレF2から。中村が打つと、宣言通り大きく右に曲がるスライスボールで223ヤード飛んだ。
「ヘッドスピードが40.8m/sで飛距離223ヤード。スピン量が4000回転くらいです。ちょっと多めのスライスで打ってみました」(中村)
この結果に対して、Mグローレで同様に打つとどうなるのか。画像6を見れば結果は一目瞭然だ。
「ヘッドスピードが42.1m/sと少し上がっていますが、球筋を見るとスライスの度合いがだいぶ収まっています。スピン量は3900回転でほぼ同じくらいなんですが、ここまで違いが出ました。右への抜けだけでなくスライスが多めの人も曲がり幅を抑えられるように新しいモデルは進化しています」(中村)
動画撮影時の計測上の飛距離の数値はやや下がったが、このサイドスピン量の変化は一目瞭然。“現場”で使った場合の結果の違いは、驚くべきものになるはずだ。
このように、つかまり具合では大幅な進化を遂げたMグローレに軍配が上がった一方で、Mグローレではつかまりすぎてしまうと感じるハンデキャップ少なめのゴルファーには軽めのドローを打てる旧作のグローレF2もまだまだオススメできるということがわかった。
グローレF2とMグローレは、このように明確にターゲットを変えてきたクラブ。とくに、潔いほどつかまりに特化したMグローレの性能が、大いに印象に残る結果となった。
協力/PGST