こんにちは。ギアオタク店長の小倉です。2018年もあとわずか。今年のみなさんのゴルフライフは良きものだったでしょうか。早いものでSLEルールが施行された2008年から10年が経ちました。SLEルールにより反発係数を高めることがクラブ開発のメインだった時代から、反発エリアの広域化や直進性の追求などに流れが変わり、この10年で色々なアイデアや技術を搭載したクラブが販売されました。
今回は、個人的にここ10年で良くも悪くも気になったクラブの進化、変化した部分をお話したいと思います。
フェースの反発が規制されたドライバーの開発は、芯で打った時の飛距離を追求する方向から芯を多少外しても飛距離ロスを軽減させる方向にスイッチしました。SLEルールと同じタイミングでヘッドサイズも460ccに規制された為、如何にヘッドを軽く作って多くの余剰重量を生み出すかがクラブ開発のひとつのキーポイントになっています。
その余剰重量をどこにどれだけ配置するかでクラブの大まかな特性が決まるのですが、ここ10年で重心位置は深く、長くするのがトレンドになっています。重心位置が深くなれば、芯を外したときにヘッドがブレにくくなります。その反面芯を外したときにスピンは増えやすくなるのですが、その辺はソールやクラウンに溝を作ったり、別の素材を組み合わせたりするなどの別のテクノロジーで軽減しているため、曲がりづらく、飛距離が落ちづらいクラブに進化しています。
重心距離の長さは、クラブの長さが長くなるのとほぼ同じ効果があるので飛距離UPを期待できますし、急なヘッド操作がしにくくなるので直進性を上げることに効果を発揮します。象徴的なのがPINGのドライバー。投影面積が大きく重心が深く長いモデルで、もともと米国では人気でしたが、日本でもここ10年で一気にシェアを伸ばしています。
この流れはアマチュアだけでなくプロの世界にも表れていて、小ぶりで操作性の良いモデルを好む選手は少なくなり、細かいコントロール性能よりもミスへの寛容性と直進性の高さを重視して選ぶ選手が増えていますね。
ただ、誰もがこの重心距離が深く長いドライバーが合うかというと個人的にはそうは思っていません。ゴルフを始めた当初からこういった設計のドライバーを持った人たちは、それが基準になりますので、問題なく使えると思います。
しかしゴルフ歴の長い、小さなドライバーでゴルフを覚えたゴルファーは、当時の理論が体に残っている(思考が変わっていない)方が多いため、意外と結果に繋がらないことが多いのです。そういった方は、ヘッドが小さめで重心距離が比較的短く浅いアスリートモデルを試すか、考え方自体を少し変えると良い結果を得られるかもしれませんよ。
撮影/有原裕晶
※ 2018年12月25日18時55分 文章を一部修正いたしました