風の強い日はいつもよりスコアが出しにくい。しかし、ツアー30勝のレジェント・倉本昌弘は「今日は難しい」ではなく「誰でも難しい」と考えるべきと話す。自身の著書「本番に強くなるゴルフ」から風の日の心得と、スコアを守るマネジメント術についてご紹介。

風の日は上手い人ほど難しい

風の日の心得とマネジメントの話をしたいと思います。基本的に風が強い日というのは、誰でも難しい。逆に言えば、コンペや競技などの日に強い風が吹いていたら、「今日は難しい」ではなく「誰でも難しい」と考えてください。風が強ければ、いつもよりスコアは悪いかもしれないけど、「それは自分だけじゃない」と考えて、大崩れしないように耐える。そうすれば、勝つチャンスが出てくるわけです。

また、風の強い日は距離の出ない人ほど有利という考え方もできます。距離の出ない人は球も低いしスピンも少ないので、アゲンストでもフォローでもあまり距離が変わらない。それに対して、距離の出る人というのはスピン量が多いので、同じショットをしてもフォローとアゲンストでは距離が大きく変わってしまうし、ミスをしたときの風の影響もはるかに大きいからです。

同じ意味で風の強い日は、飛ぶけど曲がるという男性よりも、飛ばないけど曲がらないという非力な女性のほうが、はるかにいいゴルフをしたりします。それと、しっかりキャリーボールで攻められる上級者よりも、下手な人のほうが風を難しく感じないということもある。もちろん、熟練者になれば、風に対応する能力は持っているわけですが、 熟練者ほど難しさを知っているというか、難しさを感じることもあるわけです。

画像: 風の強い日はアゲンストを残すようにプレーするのが基本になると倉本プロはいう

風の強い日はアゲンストを残すようにプレーするのが基本になると倉本プロはいう

次に、マネジメントですが、風の強い日はアゲンストに向かってプレーする、つまり、 なるべくアゲンストが残るように攻めるのが基本になります。これは、フォローよりもアゲンストのほうが距離をコントロールしやすいからです。

たとえば、左からの風が強いときにはフェアウェイの右側に置いておく。そうすれば、セカンドで風に向かって打てるので球は止まりやすく、ショートはあってもオーバーはない。ミスの幅が計算しやすいわけです。

それを何も考えずにフェアウェイ左に置いてしまうと、次打でフォローのショットが残る。しかし、強いフォローというのは、球がどこに止まるか計算しにくいし、グリーン奥へのミスも出やすくなってしまう。

特に、短い距離のときほど、フォローの距離計算は難しい。たとえば、ホール全体が アゲンストのときにピンをオーバーしたら、下りでフォローのアプローチやパッティン グが残る。これはプレッシャーがかかります。

同じように、左から風が来ているとき、何にも考えずにグリーンの左に外したり、グリーン左に乗せたりすると寄せにくい。遅いグリーンにタッチを合わせるよりも、ものすごく速いグリーンにタッチを合わせるほうが難しいように、アゲンストよりもフォローのほうがタッチは合わせにくいのです。

「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より

撮影/岩井基剛

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