同じコースで開催される「世界ジュニア」王者たちに注目!
1952年にサンディエゴ・オープンという名前で始まったファーマーズ・インシュランス・オープンは初期の頃は何度か開催コースが変わりましたが、1968年からはサンディエゴ市が所有するパブリックコースのトリーパインズGCで行われています。
この大会がトリーパインズに移ってきた同じ年に同会場で世界ジュニアゴルフ選手権もスタートしました。現在も毎年7月にジュニア大会は行われています。世界ジュニアゴルフ選手権にはアメリカの主に西海岸寄りに住む選手が多く参加し、海外はヨーロッパからの参加は少なく、アジア、オーストラリア、南アフリカ、南米などから伝統的に参加者が集まります。
世界ジュニアで初めてアメリカに来て、そこでアメリカのスケールの大きさやゴルフ環境の良さを目の当たりにして、アメリカの大学への進学を決意したり、PGAツアーへの思いを強くする選手が多いのです。
私も1987年に丸山茂樹選手と一緒に日本代表で参加して、同部屋で約10日間寝食を共にし、フィル・ミケルソンやアーニー・エルスといった選手たちを目の当たりにしたときのことを鮮明に覚えています。
この大会は世界のジュニアゴルファーにとっては聖地のような場所であり、その後プロになってファーマーズ・インシュランス・オープンに初めて参加するときは特別な感情が湧くことだと思いま
す。今週の参加選手の中にはこの世界ジュニア選手権を制した選手が数多くいます。
まずは何と言ってもタイガー・ウッズ。今となってはジュニア選手権は6歳以下という部門からありますが、当時は9-10歳の部からしかありませんでした。そこに8歳で参加したウッズはいきなり優勝。それを含めていろんな年齢で6度も世界ジュニア選手権を制しました。ファーマーズ・インシュアランス・オープンは7度優勝。ここで行われた2008年の全米オープンも制しています。今年もトーリーパインズからウッズの新たな年が始まります。昨年はちょうど1年ぶりのPGAツアー復帰戦でした。
またラウンド中に痛みが出て途中棄権してしまうのではないかと心配しながら見ていたファンも多かったと思います。結果的にはギリギリで予選を通過して、週末は順位を上げて23位タイという上々の復帰戦となりました。その後の活躍はあらゆるスポーツ史上最大のカムバックとも言われるくらい凄いものでしたが、2019年はどういう年になるのか今週も間違いなく注目度はナンバーワンです。
ディフェンディングチャンピオンのジェイソン・デイは世界ジュニア選手権は2004年に勝っています。ニュージーランド以外の海外は初めてだったというデイにとって、このアメリカ遠征はデイの人生に大きな影響を与えました。2015年にファーマーズ・インシュランス・オープンを初制覇したときに「自分の人生は2004年ここで始まったんだ」とコメントしています。
ここ5年間のデイの今大会の成績は2位タイ、優勝、予選落ち、予選落ち、優勝と予選落ちか優勝争いかという感じになっています。前回ディフェンディングチャンピオンで迎えた16年大会は予選落
ちに終わっています。今回は優勝争いしてリベンジしたいところです。
そしてたった3年前に世界ジュニア選手権15-17歳の部を制したのがチリのホアキン・ニーマンです。3日目を終えた時点では接戦でしたが、最終日に抜け出し8打差の圧勝でした。その後アメリカの大学への進学も視野に入れていましたが、昨年のマスターズ後にプロ転向。プロデビュー戦のバレロ・テキサスオープンでいきなり6位に入ると、その後もさらに3度のトップ10入りを果たし、あっという間にシード権を獲得しました。
プロ2年目を迎えた今シーズン、3年前にジュニア大会を制した思い出の地にプロとして戻ってきま
した。今シーズンはここまで6戦戦ってひとつトップ10がある他は目立った成績は出ていませんが、
ジュニア選手権を制してたった3年でPGAツアーメンバーとして戻ってきたトリーパインズで良いイメージが自然と湧いてくるのではないでしょうか。
※一部訂正致しました(2019.1.24 18:10)