昨季(2018年)の国内女子ツアー賞金ランキング32位で、シード権を獲得した東浩子の専属キャディを務めるプロキャディ・先崎洋之。キャリア18年の彼から女子プロが優勝するために必要なことを聞いてみた。

すべての試合を最高のパフォーマンスで戦うことはできない

今季も1カ月後の3月7日から沖縄県の琉球ゴルフ倶楽部を舞台に開催される「ダイキンオーキッドレディス」で、国内女子ツアーが幕を開ける。ここから11月末の最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」まで、毎週ほぼ休みなく、熱い戦いが繰り広げられる。

約9カ月間にも渡る長丁場のシーズンを、女子プロたちはいかにパフォーマンスを維持しながら乗り切るのか。東浩子の専属キャディとして7年目のシーズンを迎える先崎キャディは、

「すべての試合を最高のパフォーマンスで戦うというのは、精神的にも肉体的にもムリですからね。1シーズンのなかで、どこにピークを持っていくかが大事になります。東プロの場合だと、まず開幕後は国内女子ツアーのメジャー初戦『ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ(5月9日開幕)』にピークを持っていけるように、徐々に調子を上げていくんです。それを含めて、1シーズンに3~4回、目標にする試合を設定して、ピークを作っていく感じですね」(先崎、以下同)。

東が昨シーズンに試合を休んだのは、欠場を含めて3試合のみとか。そのなかで、どの試合にピークを持っていくかは、どうやって決めているのだろう。

画像: 6月開催予定のアース・モンダミンカップが東浩子の相性のいい試合だという(写真は2018年の伊藤園レディス 撮影/大澤進二)

6月開催予定のアース・モンダミンカップが東浩子の相性のいい試合だという(写真は2018年の伊藤園レディス 撮影/大澤進二)

「やっぱり、メジャーの試合はみんな勝ちたいので、そこにピークを合わせる選手が多いです。あとはコースとの相性がいい試合があれば、そこでは確実に賞金を稼ぎたいですし、上手くハマれば、優勝のチャンスもありますからね」

ちなみに、東にとって相性のいい試合は、毎年6月の最終週に千葉県のカメリアヒルズカントリークラブで開催される「アース・モンダミンカップ」だという。

「コースも彼女のプレースタイルに合っているんでしょうね。この試合は本当に相性が良くて、過去6年間で5位タイが2回、8位タイが1回と、2回に1回はベスト10に入っているんですよ。しかもこの試合は賞金総額が2億円と、ツアー全試合のなかでも高額大会なんです。なので、春の『サロンパスカップ』の後は、ここにピークを合わせるように調整していくんです。その後は秋開催のメジャー2戦、『日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯』と『日本女子オープン』に照準を合わせます」

逆に、相性の悪いコースや試合のときは、どうしてもモチベーションが下がりやすく、上手くいかないことで調子も崩しやすいが、「そういう状況でも1打1打を大事にして、集中してプレーしようと、東プロとはいつも話をしています。調子のピークがドン底のときは、いまは仕方ないよねと、ジッとガマンすることも大事。諦めが肝心なときもあるんです」

これまで優勝争いには何度か絡んでいるが、まだツアー優勝には手が届いていない東。

「優勝できる選手というのは、やっぱり狙った試合にピークを合わせるのが上手いし、チャンスがきたら、きっちりモノにするメンタルの強さがあります。昨シーズン、東プロは優勝争いに加わっても、最終日にスコアを崩すことが多かったんです。ただ、彼女の場合はチャンスでギアをトップに入れて、攻撃的なゴルフで優勝を狙うタイプではない。確実にパーオンさせてスコアの波を作らず、コツコツとアンダーを積み重ねていくのが、彼女のスタイルなんです。だから、毎年安定した成績を残せて、シード権を守ることができている。そのプレースタイルを崩すことなく、焦らずガマン強く続けていけば、おのずと優勝のチャンスはやってくると思っています」

9カ月間もの間、毎週ゴルフをするのは想像以上に厳しいもの。そのなかでいかに休養なども織り交ぜながら調子の波をコントロールし、狙った試合で結果を出せるか。ゴルフの腕前はもちろん、ピークをコントロールする能力も、長丁場を戦い抜く女子プロたちには求められるのだ。

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