スウィングの順番は考えない
球が体の近くにある卓球などでは、手、足、腰、背中といった各部位のことを、スウィング中に意識しません。ましてや、どういう順番で各部位を動かすなど、考えている暇はないはずです。
ところが、ゴルフは体と球が離れているぶん、ヘッドで球を叩くまでに時間がある。そこで、手や足を動かす順番に意識を奪われ、さらには4拍子というリズムを生み出してまで、非効率的なスウィングをしようとしてしまうのです。
ゴルフの目的は「打つ」こと。でも、練習でもラウンドでも、「どう打つか」 ではなく「どう振るか」ばかり考えてしまうアマチュアは多いようです。
私が追い求める究極のスウィングは、体を動かす順番がなく、「上げて、上げる」、2拍子スウィングです。スウィング中に、手首の角度を保つ、右ひざを我慢する、右股関節に体重を乗せる、背中をねじる、といった体の一部に個別に意識を持たないスウィングです。
それらはすべて、結果的に「できてしまえばいいこと」であって、故意に「すべきこと」ではないのです。「しよう」とすればするほど体は硬直し、他の部分が機能不全におちいるもの。「しよう」と思わず、ある目的だけに集中すればいいのです。すなわち、ゴルフの場合は、球を「打つ」ことです。
よくアドレスの時点で、体の動かし方で頭がいっぱいになってしまう人がいます。それは、すでにアドレスが順番の一部になってしまっているためでしょう。つまり、静止しているときが「ゼロ」。続いてテークバックが「イチ」という4拍子のスウィングです。それだと、アドレスで、わざわざ体を動かす順番をつける準備をしているようなものなのです。
動きの順番は考えない
2拍子スウィングをマスターするためには、「アドレスで静止する」という意識を変えてください。むしろ、アドレスはいい加減でいい。
私の場合は、止まらずに、つねに動いている感覚です。ヘッドも体も、対象物となる球までをも動かしたままスウィングを開始します。流れの中で体全部を一緒に動かす。そして、「上げて、上げる」の2拍子。動きの順番よりも、 自然に後ろを向いて、前を向く、体を入れ替えるようなイメージです。
静止してしまうアドレスと、始動のテークバックなどをすべてなくすためには、いきなりトップからスウィングをはじめる練習をしてみてください。トッ プからだと、腕をどうやって上げようとか、ウェートシフトをどうしようなどと考えている暇はありません。もはや、2拍子でその場所にある対象物を体全体で「打つ」しかなく、次第に力まず体の入れ替えだけでシンプルに打てるようになるはずです。
「これでいいの?これだけで飛ぶの?」(ゴルフダイジェスト新書)より
撮影/小林司