13年ぶりの3月開催で「平均1ストローク」難易度が増す!?
第5のメジャーと言われるザ・プレーヤーズ選手権が2006年以来13年ぶりに3月開催に戻ってきました。
3月開催と5月開催では何が違うのか。まず大きく違うのは気象です。開催コースのTPCソーグラスがあるフロリダ州ジャクソンビルは日本の種子島とほぼ同じ緯度。日本と同じ温暖湿潤気候で、3月のこの時期は暖かい日もあれば寒い日もあり不安定です。
寒い北寄りの風が吹く日はアイランドグリーンの17番パー3は向かい風になり、わずか137ヤードですが5月ではありえない5番アイアンや6番アイアンといったクラブも出てくることもあり、一気に難易度が増します。
そして芝が違います。3月は気温が低くバミューダ芝が育っていないため、ライグラスがオーバーシードされます。そのためラフはバミューダ芝に比べると深くなりますが、フライヤーの計算に関してはライグラスのほうがしやすくなります。フェアウェイやグリーンは5月に比べると軟らかく、3月のほうがコースは長く感じますが、フェアウェイやグリーンの転がりの計算は楽になります。
3月開催時の平均スコアは73.40に対して、5月開催時の平均は72.48。総合すると平均約1ストロークという大きな差で3月のほうが難しいというデータになっています。
TPCソーグラスではどういう選手がこれまで活躍しているか。優勝者のスタッツを見るとショット部門の数字が良かった人が圧倒的に多く勝っています。飛ばし屋もいれば、そうでない人もいますが、
ショットでかなり優位に立てないとこの大会を制することは難しそうです。
昨年優勝のウェブ・シンプソンはドライビングディスタンスは最下位でしたが、フェアウェイキープ率が1位、パーオン率も5位という数字でした。2017年のキム・シウ、2016年のジェイソン・デイ、2015年のリッキー・ファウラー、いずれもストローク・ゲインド・ティ・トゥ・グリーン(ショットのスコアに対する貢献度を示す指標)はトップ5に入りました。
ドッグレッグが多く、池が多く、少しのミスが命取りになるこのコースではショットの正確性が重要だと言えそうです。
本命予想はセルジオ・ガルシア。ガルシア自身ヨーロッパではバルデラマ、アメリカではソーグラスが1番好きなコースだと公言していて、2008年に勝っている他にトップ5に4回入っています。PGAツアーでは今季はまだ3試合にしか出ていないためスタッツの順位が出ていませんが、SGティ・トゥ・グリーンは4位相当の数字です。ここ2試合連続でトップ10入りと好調をキープしていて、3月開催を経験している24名のひとりでもあり、PGAツアーでは2017年のマスターズ以来の優勝があるかもしれません。
対抗予想はトミー・フリートウッド。今季のSGティトゥグリーンは現在9位。昨シーズンも9位。常に安定したショットメーカーです。2019年に入ってからアメリカでは4試合を消化し、45位タイ→28位タイ→19位タイ→3位タイと徐々に成績は上向きの流れです。
3年連続3回目の出場になりますが、1回目が41位タイ、昨年は7位タイに入っています。ライダーカップで大親友になったモリナリの優勝に刺激を受けて……なんていうことがあるかもしれません。
穴予想というには失礼かもしれませんが、ヘンリク・ステンソン。2009年大会のチャンピオンです。昨年は肘痛に悩まされて試合数も少なめで、目立った成績は前半に集中していました。昨年の終盤は良い成績を2つほど出して終わりましたが、今年に入って欧州ツアーの中東シリーズ3連戦全て予選落ちという苦しいスタートを切りました。
予選落ちのないメキシコでも54位タイと精彩を欠きましたが、先週のアーノルド・パーマー招待で初日77と最下位に近いところからあとの3日で17位タイまで押し上げました。ステンソンは1度きっかけを掴むと長く活躍することが多い選手で、先週の2日目からのプレーは何か良いきっかけのように見えます。来月には43歳になりますが、まだまだその堅実なプレーぶりはソーグラスのようなコースでとくに強さを発揮する気がします。
マスターズの初日を迎えるまで30日を切りました。3月に動いたザ・プレーヤーズ選手権はまさにマスターズの前哨戦という戦いになりそうです。