過去にこだわり未来を予想するから流れが悪くなる
試合に出ていると、同伴プレーヤーを見ていて、流れを悪くしているなぁと感じることがあります。たとえば、ミスショットをした後に、ミスの原因を自分で分析して、その悪い動きを再確認してみたり、そのミスを直すための動きをやってみたりする。しかし、それは過去に囚われた悪いパターンだと思います。
ルーティンを見ていても、手順がいつもより雑になったり手間取ったり、時間が短かったり長かったりするのは、やはり過去や未来に囚われて流れが悪くなっている証拠でしょう。
逆に、ルーティンがしっかりできている人は、過去にも戻らないし、未来にも行かない。ルーティンというのは、現在のプレーに集中するためにあるのですから、それが本来あるべき姿なのです。
ちなみに、自分の流れがよかったときのことは、正直言ってあまり細かく覚えていません。ただ、間違いなく流れのことなんて考えていない。それだけひとつひとつのショットに集中しているわけです。
いいときというのは、過去も振り返らないし、その先も考えない。だから、流れのいいときには自分がいくつバーディを取ったのかを忘れていることも多いのです。上がってみたところで、今日はバーディ7つだっけ、8つだっけ。ああ、8アンダーか。いいスコアが出たなという感じです。
ところが、アマチュアの場合、いいスコアが出そうになると、後半に意識してしまう。パーやバーディが続くと、「そろそろミスが出るんじゃないか」と考えてしまう。「今日は調子がいいから」と無理な攻め方をしてスコアを崩すなど、現在に集中できないケースが多いようです。
これらはすべて未来を予測しています。もちろんプロでも、前半に5連続バーディを取ると、「今日はいくつ取れるんだろう」と意識する。でも、その途端にバーディが止まってしまう。未来を予測したことで流れが切れてしまうわけです。
また、アマチュアの人を見ていると、同じ組の人が叩いているのにつられて、一緒にスコアを崩してしまうことも多い。結局、それも自分の現在のプレーに集中できていないことが原因なのです。いずれにしても、1打のミスやラッキーなショットが流れを変えるわけではなく、それをきっかけにして現在のプレーに集中できるかできないかのほうが、流れにはるかに影響するということは覚えておいてください。
「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より
撮影/岩井基剛