開催コースはハマると怖い。過去には1ホール「16」を叩いた選手も
テキサスオープンは1922年第1回大会からサンアントニオで行われていて、同じ町で行われている試合としては最も長く続いている歴史のある大会です。
今年は2013年以来2度目となる、マスターズ前週というスケジュールでの開催となります。世界ランキング50位以内によるマスターズ出場はすでに決定しており、今週の優勝者に最後の1枠が与えられます。今年のテキサスオープン出場者の中で、すでにマスターズ出場権を持っているのは17名。残りの127名は最後の1枠をかけて戦うことになります。
会場のTPCサンアントニオ・オークスコースはグレッグ・ノーマン設計、セルヒオ・ガルシア監修で2010年に開場しました。2011年から今大会の会場になっていて、7,435ヤードと距離は比較的長めで、パー5も4つあるパー72ですが、優勝者や争いに加わる選手を見ると決して飛ばし屋ばかりではありません。
フェアウェイは決して狭くありませんが、林の中は自然そのままのネイティブエリアになっていることが多く、場合によっては脱出が困難になり大叩きにつながることがあります。ケビン・ナが林からの脱出に手こずって、1ホールで16を叩いたことで有名です。
テキサス州と言えば強風。昨年は強風の日が少なく、優勝は17アンダーまで行きましたが、例年10アンダー前後での決着が多く、風の中うまくボールをコントロール出来た選手が毎年優勝争いに加わっています。
出場者の中で世界ランキング最上位者のリッキー・ファウラーはテキサスオープンは初登場になります。WGCマッチプレーをスキップして、マスターズ前週の試合に出てオーガスタへ向かうというルーティーンは一緒です。
ファウラーにとって本当に優勝したいのは来週のマスターズであって、今週はあくまでも試合の中での最終調整ということになりますが、世界ランキング上位者が少ないこのフィールドでは、普通にプレーすれば上位争いに入ってくると思います。
今季はここまで8試合に出て予選落ちなし。フェニックスオープンでの優勝もあり、来週に向けて今週何か特別な勢いが必要ということはありませんが、ティーショットの正確性や風の中のボールコントロールが要求されるこのコースはファウラー向きだと感じます。
出場者の中でファウラーに次ぐ世界ランキング上位者はトニー・フィナウです。3回目の出場で、おととし2017年に3位タイに入っています。今季のフィナウは10試合に出て予選落ちはわずかに1回と安定していますが、2019年に入ってからトップ10がありません。
ただ例年のフィナウを見るとスロースタートの傾向があり、今年は予選落ちが1回というだけでも良いスタートを切ってると言えそうです。昨年はメジャー4つのうち3つでトップ10に入り、初めてライダーカップにも出場しました。いつメジャーに勝ってもおかしくない雰囲気をすでに持っていますが、優勝はまだプエルトリコでの1勝。初優勝を挙げてから2位が5回あり、安定感は抜群で、ひとつ勝つと立て続けに勝ってしまうかもしれません。
ルーキーのイム・ソンジェはこれで6連戦目に突入しますが、まだ21歳という若さもあり、結果も出ているので、疲れは感じていないのかもしれません。ルーキーということで初めてのコースばかりですが、今季すでに17試合に出場し、トップ10に5回、しかもここ4試合で3回トップ10入りしています。
先週のドミニカでは優勝すれば世界ランキング50位入りしてマスターズに向かえるはずでしたが、最終日あまり伸びず7位タイで終えました。イムの最大の長所はサイドスピンの少なさにあると思っています。球を曲げて自在に操るというタイプではなく、いつでもまっすぐの球を打てるので、強風で周りの選手が苦労する中するするっと上位に気がついたら来ているというタイプの選手です。今季のストローク・ゲインド・ティトゥグリーン(※編注:ショットの精度を示す指標)は18位とトップクラス。今週勝って先週つかみ損ねたオーガスタ行きのチケットを手にすることが出来るか注目です。