18番グリーンを「3組分」の時間を使ってチェック
マスターズ開幕前日の水曜日も、コースと練習場で有力選手たちをウォッチしました。そのなかで、もっとも印象的だったのが世界ランク1位のジャスティン・ローズです。
練習場では、コーチのショーン・フォーリーとスウィングを調整していたのですが、どうもいつもと様子が違う。普段は身振り手振りを交えて、ともすれば選手より目立つフォーリーが、すごくおとなしい。なにを意味するかといえば、それだけ“仕上がっている”ということでしょう。

ドローボールを練習場で打ち続けたローズ。コーチのショーン・ローリーも今日は静か
ローズはドローもフェードも両方打ち、どちらかといえばフェードが中心という選手ですが、今日はティショットからアイアンまで、ドローボールしか打っていませんでした。オーガスタは左ドッグレッグのホールが多く、ドローが有利。完全なるマスターズ仕様に仕上げています。
驚いたのは練習ラウンドです。2017年、ローズは最終18番で行われたプレーオフ、左手前に切られたピンに入れることができず、セルヒオ・ガルシアにグリーンジャケットを譲りましたが、今日の練習ラウンドでは、その左手前に目印を置き、20球近く練習を繰り返していました。

立てられたピンは無視し、最終日のピン位置を想定してひたすら練習していた
同組の選手はお先にホールアウト。後ろからはジョーダン・スピースとパトリック・カントレーの組がやってきます。するとローズは後ろに合図をして打たせ、今度は自分の練習とともに、スピースたちのパット練習をじっと見守り始めたのです。写真Aをご覧ください。まるでローズがスピースのコーチみたいでしょ(笑)。彼のタッチから、なにかヒントを探ろうというのです。

写真A:スピースのパットを真剣そのものの形相で見守るローズ。並々ならぬ気合いを感じる
さらにさらに、スピースたちの組が去ると、今度はそのまた後ろのトニー・フィナウとアレックス・ノレンの組にも打たせ、彼らのパッティングも見守っていました。練習ラウンドのひとつのグリーンで“3組分”練習する選手を見たのは初めてです。
徹底的なグリーンのチェック、ドローに揃えたショットの準備。この姿を見て、ローズが世界ランク1位であることの理由がわかったように思います。才能や技術力だけではなく、ものすごく周到な準備をして試合に臨んでいるのです。準備力、計画性、頭の良さ、そして執念……それらが図抜けているからこそ、彼は世界ランク1位なのでしょう。
勝てるかどうかはわかりませんが、ローズは完全に勝ちにきている。その凄みを肌で感じる1日でした。
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