低く出して途中から浮かせてフックをかける必要があった
マスターズ2日目、今日はタイガー・ウッズの組を中心に観戦しました。68の好スコアをマークし、首位と1打差の6位タイにつけたタイガーの今日のハイライトのひとつが、14番ホールでのバーディではないでしょうか。
440ヤードのパー4のこのホール、タイガーはティショットを左に曲げ、林の中に入れてしまいます。タイガーが去った後、そのショット地点に行ってみましたが、はっきり言ってノーチャンスです。
目の前に枝があり、低く打ち出す必要があります。しかし、その先にはまた別の枝があるため、「低く打ち出して、途中からホップする球」を打たなければならないのです。フックをかける必要もあります。
その隙間をタイガーは低く打ち出して通し、途中からホップさせ、フックをかけてグリーンにオンさせました。ちょっとわけがわからないくらいすごいです。
現場は熱狂の一言。変な一体感みたいなものが生まれ、私も周囲のパトロンからハイタッチを求められました(笑)。ライブ会場みたいな雰囲気といえばいいでしょうか。とにかくすごい盛り上がりです。
タイガー自身「手前でいい」という気持ちで打ったようで、予想以上の好結果だったようです。12番ホールのティショット直後に一時中断となり、雨でグリーンが軟らかくなっていたことも助けられているとは思いますが、さすがタイガーの一言です。
しかし、14番でミラクルバーディを奪い、15番でも長いパットを沈めてバーディ。このまま一気にリーダーボードを一番上まで駆け上がるかと思われましたが、17、18はチャンスを決めきれませんでした。とくに、18番のバーディパットは「打てていない」という印象。
タイガーにとっても、プレッシャーを感じながら上位で戦うマスターズは久しぶり。そんな中、私には今日のタイガーが間もなく訪れるサンデーバックナインに向けた「予行演習」というように感じられました。
現地での印象は、まだまだアドレナリン全開という感じではなく、むしろ乗り切れていないという印象。残り2日間のプレーで、全開のタイガーを見せてくれるはずです。
4人のコーチをつけて「他人の力」で戦うモリナリ
さて、そんなタイガーを抑え、ブルックス・ケプカ、ジェイソン・デイ、アダム・スコット、ルイ・ウーストヘイゼンらとともにトップに立ったのがイタリアのフランチェスコ・モリナリです。
モリナリのプレーを見ましたが、その印象は「普通」です。正直、これといって特筆すべきものがないんです。ギャラリーの中に入ったら、あっという間に紛れ込んでしまいそうです(笑)。ただ、それでも昨年全英を勝ち、2日目を終えたマスターズでトップに立っている。それがモリナリの凄みです。
身体能力とか、才能といった意味では、タイガーには絶対に及ばないであろうモリナリですが、パッティング、ショートゲーム、ショット、パフォーマンスと4人ものコーチをつけ、徹底的に「他人の力」を使って勝負しています。
日本では馴染みの薄いパフォーマンスコーチに話を聞くと、主にプレッシャーがかかった際にどうプレーすべきかなどをアドバイスしているそう。タイガーとはある意味対照的ですが、注目したい選手です。
松山は最後の一人になるまで練習場で汗を流した
松山英樹選手ですが、調子の悪いなか2アンダーにスコアをまとめてきたのはさすがです。タイガーのホールアウトを見届けた後、練習場に足を運ぶと、最後の一人になるまでボールを打ち続ける松山選手の姿がありました。
練習日からショットがしっくりきていなかったダスティン・ジョンソンは、それでも6位タイにいます。8番パー5、本来であればドライバーでバンカーを越せるDJが、ちょうどバンカーに入るクラブである3番ウッドでティショットしていました。悩みは深そうですが、それでも上位にいるのだからすごいです。
明日は誰がオーガスタの地でいいプレーを見せるのか。ムービングサタデーに注目です。
※一部訂正致しました(2019.04.13 15:50)