「私はね、あまり我慢強くないの。さっさとマスターズに出てちょうだい!」
昨年6打差を逆転しアメリカ初優勝を飾った小平は今年「心身ともに疲れ果てました」と最下位(70位)でフィニッシュ。昨年との落差は大きいがこれから3週間ツアーを休んでリフレッシュした状態で次戦には万全の態勢で臨むと前を向いた。
そして今年優勝したのがチェンソン。タイガーに憧れ「彼のいる舞台で戦いたい。そしていつか優勝を掴むんだ」と大志を抱き10代で渡米。IMGアカデミーを経てワシントン大学に入学するとコツコツ経験を積み2年前にPGAツアーに昇格。今季はここまでいいところがなかく、直近の5試合で予選落ち3回と苦しんでいたがヘリテージでついに花開いた。
じつは彼、はじめて主宰するジュニアの大会(AJGA)が同じ週にヒューストンで行われるため当初は「試合を休もうと思っていた」という。
ところが試合を休むという夫に妻インチェンさんは「私がイベントを仕切るからあなたは試合に出て!」と背中を押したというのだ。
すると台湾からチェンソンが招いたジュニアが大会優勝。「ダブル勝利だからね。最高の週末になったよ。やっぱり妻のいうことはいつでも正しい」と主役は白い歯を見せた。
憧れのタイガーがマスターズで復活優勝を遂げたとき、夫婦はテレビの前で歴史的瞬間を見届けた。
すると妻からこんな言葉が。
「私はね、あまり我慢強くないの。さっさとマスターズに出てちょうだい! そしたらパー3コンテストでキャディをしてあげるわ」
妻の激励に奮起したヘリテージでチェンソンは冷静だった。「最終日のピンポジションを見て序盤はミスしないように慎重にプレーし中盤攻めていこうと思っていた」と戦略を立て、その通りのプレーで5バーディ、1ボギーにまとめてマット・クーチャーに1打差をつけ初勝利をもぎ取った。
出るはずではなかった試合に妻のひと言で出場。「早くマスターズに出て」とハッパをかけられた翌週にはメジャー行きの切符を手に入れた。