まだまだピンを抜く派も多い。注目は最少意見にあり!?
2019年はゴルフルールの一部が改正されて話題だが、中でもパッティングの際にピンを抜くか、抜かないかの問題は、様々な形で記事になっている。ゴルファーの関心度が最も高い改正ポイントだろうと思う。
そこで、ピンを抜くか、抜かないか。施行後4ヶ月、あなたはどうしていますか? と練習中のゴルファー15人に聞いてみた。
・抜かない 5人
・抜く 8人
・どちらでも(同伴者に合わせる) 1人
・混み具合による 1人
(千葉県・ユニオンゴルフクラブにてヒアリング)
抜かない派のゴルファーに理由を問うと、「やってみたら抜かないほうが入る気がした」、「ピンを抜くのは面倒だから」、という意見が多数だった。
一方、抜く派には「ピンを差したままのプレーに慣れていない(違和感がある)」、「抜いたほうが集中できる」、「差したままだとプレーが適当になる気がする」という理由が並んだ。
聞いていて、どちらの意見も想像の範囲内というか、そうだろうなと、ある意味うなずけるものだった。
しかし、今回注目してもらいたいのは、少数派の回答である「どちらでも(同伴者に合わせる)」「混み具合による」と答えた人の意見である。ここにこそゴルファーらしいルールとの向き合い方が隠されていると感じたからだ。
他人のことを一番に考えてゴルフルールと向き合う。
まず、「どちらでも(同伴者に合わせる)」と答えた人の理由から。
「個人個人で抜いたり差したりしていたら余計な時間がかかるし、抜き差しが増えればそれだけカップの縁や周辺が荒れやすい。だから、自分は同伴者に聞いて多いほうに合わせます」(ゴルフ歴5年/ハンデ13/38歳)
自分自身は抜こうが差そうが結果は変わらないので、と前置きした上で上記の回答をいただいた。
次に、「混み具合による」と答えたゴルファーのその理由が下記。
「基本的にはピンは抜いてやりたい派です。でも土曜日みたいに混んでいたら抜かないでやります。そのほうが速いから。平日プレーで後ろも前もいなかったら抜きますね、普通に(笑)」(ゴルフ歴31年/ハンデ15/73歳)
この2人に共通しているのは、プレー時間について言及したこと。“どちらが入る!?”というところに関心が集まりやすい話題だが、そもそもなぜピンを抜かずにパッティングしてよくなったか、というルール改正の目的を正しく理解していることの表れだ。
ゴルフのルールやマナーは、我が身を中心にして考えると堅苦しく思えたり、面倒だと思うことも多いが、ルールは自分以外の人のためにある、と考えると、納得しやすいのではないだろうか。
ゴルフ場には大勢のゴルファーがいる。その中でみんなが公平に、不快な思いをせずにつつがなく1日を過ごすために、ゴルフのルール、エチケットはあると言っていい。OBを打ってしまっても、ウォーターハザードにぶち込んでしまっても救済ルールがあるからこそ、スムーズにラウンドを続けることができる。
それは自分のためであるようでいて、同伴者や後続のゴルファーのためになることだ。ピンを抜かなくてもよくなったことも、膝の高さからドロップすることになったことも、ラウンドを滞らせないためにあると考えれば合点がいく。自分がスムーズに気持ちよく回れるのも、先行組が粛々とルールに則ってプレーしてくれているおかげなのだ。
ピンを抜くか、抜かないかという話題。どっちが入る!? ではなく、どちらが速いか、どちらが他の人のメリットになるかという観点で、もう一度考えてみたい。そんなことを思った今回のヒアリング結果だった。