朝、グリーンでボールを転がすと、拾い上げたボールにうっすら砂がついていることがある。入れごろのパットを外したときなどに「砂が入ってて重いからショートしちゃったよ」なんて言い訳が口から出るのはご愛嬌だが、そもそもこの砂、なんで入れるんだっけ?
日によってグリーンに撒かれる砂。これは一体なんのためなのかといえば、グリーンのコンディションを整えるために撒かれる。砂を撒くことでグリーン面が均一になったり、芝生の育成にも効果があるのだ。
芝はもちろん植物なので、どんどん成長してくる。そうすると新たな根が生えるスペースがなくなるため、グリーンに細かい穴をあけるエアレーションをする。その穴の中に砂を入れると、砂に根が伸び、柔らかい新芽が生えてくる。こうして、つねにグリーンの状態を維持しているわけだ(エアレーションをせずに砂を撒く場合も多くある)。
ただ速かったり硬ければいいわけではなく、グリーンの密度が高く、葉の太さが均一でなければ“いい転がり”は得られないため、砂を敷き詰めた後は砂を芝の一本一本の間にしっかりと入れ、さらにマットで表面を均して寝ている葉を立たせ、均一に日光に当てることで光合成や成長を促したりもするのだという。ただ砂を撒いて終わりではないわけだ。
また、もちろん、プレーヤーを迎え入れる前には、表面の砂をブロワーで吹き飛ばすなどの作業も必要になる。芝生を健康に育て、その上で短く刈り込み、硬く締めてグリーン上のプレーの面白さを高めるためには、見えないところで多大な手間がかかっているのだ。
というわけで、グリーン上に砂が撒かれていたらそれはコース課のスタッフがグリーンを良くするために手間暇をかけている証拠。「今日のグリーン、砂が入ってて重いなあ」などと文句を言わずに、プレーを楽しもう!
撮影/岡沢裕行