ゴルファーは、過去のミスを悔やみ、未来に起こるミスを恐れる生き物。メンタルコーチの池努は、過去と未来にとらわれず、つねに目の前の自分ができる行動にフォーカスすべきと説く。そのためのとっておきのメンタルテクニック「インコントロール」を教えてもらおう!

今回お伝えする内容は私たちの感情に最も影響を与えている「過去」「未来」への思考に対処するテクニックをご紹介していきます。

どのように「過去」「未来」への思考が感情に影響しているのでしょうか?

たとえば、コンペでの朝イチのティショット。「前のコンペでも朝イチでOB打ったな。なんか嫌だな」これは「過去」に思考が向いている状態です。過去のミスを思い出すことでミスしたときのイメージや気持ちを思い出しネガティブな感情になってしまう。これもよくあることだと思います。

また、「未来」について考えてしまうこともよくあることです。「このショット、OBになったら嫌だな」とまだ実行していない行動に対する未来への思考が、不安や焦りという感情を呼んでしまいます。このように私たちはすぐに過去や未来にとらわれて感情を乱してしまいますね。

画像: 「この状況、前もミスしたな」「絶対ミスするに決まってる」。そんな風に思うときでも、“いま、自分にできること”にフォーカスすれば結果は変わる

「この状況、前もミスしたな」「絶対ミスするに決まってる」。そんな風に思うときでも、“いま、自分にできること”にフォーカスすれば結果は変わる

実はこれらの感情もまた「アンコントロール」で対処することが可能です。前回の記事でご紹介したアンコントロールとは「自分がコントロールできないことに気づくこと」でしたね。「過去」「未来」も基本的にはコントロールできないことです。過去の出来事や結果を悔やんでも当然それらは変わりませんし、これから起こる未来の出来事も実行後にしかわからないことです。

このように「過去」「未来」もアンコントロールすることで、今、目の前のプレーに不必要な思考や感情を減らすことができるのです。

しかし、頭では理解しても、実際のコンペでいきなりこのアンコントロールを実行するのは簡単ではありません。ですので、日常生活でメンタルトレーニングをしておくことがおすすめです。

たとえば、1週間後に重要なプレゼンや商談、事例発表などの大事な仕事があるとします。この場合、大事な仕事になればなるほどプレッシャーを感じやすいものですが、そのプレッシャーは「過去」や「未来」への思考が作り出していることが多いです。

「前みたいにうまくクライアントの質問に答えられなかったらどうしよう(過去への思考)」
「今回も受注できなかったら社内評価が下がってしまう(未来への志向)」
と考えてしまうのは仕方がないことですので、ここでアンコントロールを使ってほしいのです。

「そうだった、過去のミスも未来の結果も今はコントロールできないんだったな」と気づき、過去・未来への思考を手放していくのです。そして、アンコントロールした後は、今自分がコントロールできること、つまり自分ができる行動に目を向けていきます。

・相手に伝えたい重要なポイントをさらに明確にしておく

・プレゼン内容、配布資料をチェックし、さらに改善する

・ロールプレイを多めにしておく

ちなみにこのように自分ができる行動に意識を向けていくことを私はわかりやすく「インコントロール」と呼んでいます。

このように仕事場面で過去や未来への思考はコントロールできないと気づき、今できる行動に意識を向けていくという「アンコントロール→インコントロール」という流れを意識的に何度も使っていくことで思考パターンとして定着させることが狙いですね。

このようにメンタルトレーニングを日常で実践することは仕事の生産性もあがり、かつゴルフのパフォーマンスアップにもつながり一石二鳥だと思います。

ぜひ、日常生活で試してみることをおすすめします!

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