プラスチック廃棄物を再利用
年々世界規模で重要視されてきている環境保全への取り組み。そんななか、プラスチック製ショッピングバッグを廃止して紙製バッグに移行したり、本社内でペットボトルの使用を禁止しマイボトル・エコバッグを社員に配布したりと、もともと環境保全への意識が高いアディダスが今回発表したのは、プラスチックゴミから創られた世界初のゴルフシューズ「ツアー360 XT パーレイ」だ。
海岸や海沿いの地域で回収されたプラスチック廃棄物を再利用した特殊素材「パーレイ・オーシャン・プラスチック」を用いて作られた、まさに地球環境に優しいゴルフシューズというわけだ。ちなみに1足作るのに、例えばペットボトルだとおよそ20本前後が必要になるのだという。
「環境に優しいシューズ」という話題性とともに、性能も両立。足型は同社の「ツアー360 XT」をベースに、アッパー部分はツアーニットシューズ「フォージファイバー ボア」の技術を採用。通気性は良いが水を通さず、ニット素材が包み込むようにフィットしてくれる。さらに特殊素材のおかげで従来のツアーニットシューズよりも軽量となっている。
もちろんこのリサイクルへの取り組みは大きなプロジェクトの中の一つ。アディダスは6月5日より不要な服・フットウェアを回収する「テイクバックプログラム」を開始。2021年には100%リサイクル可能なシューズの販売を予定しており、2024年までにリサイクルポリエステルを用いた製品製造への完全移行を目指しているという。
ちなみに、アディダスゴルフのプロダクト担当者によれば、来週の全米オープンでダスティン・ジョンソンがさっそく「ツアー360 XT パーレイ」を着用する予定。なんでもDJはニットシューズをいたく気に入っているのだとか。
「去年(2018年)の夏のシーズンがとても暑くて、ある日突然ニットシューズ(ツアー360ニット)を履いたんですよ。通気性・防水性があり、アウトソールはまったく一緒で革より軽い。さらっと替えて、今年のマスターズも同じもので出場していました」(担当者)
当然ながらメジャータイトルがかかった試合なので、あくまでも予定。調整が完璧に終わらなければ「また次の機会に」となるだろう。しかし、太平洋を臨むペブルビーチで、海岸で回収されたゴミから作られたゴルフシューズがお披露目となれば、なんとも“画”になる光景ではないだろうか。今年の全米オープンはDJの足にもぜひ注目してもらいたい。
*2019年6月6日17時5分 文章を一部修正いたしました