2012年に腰を痛め、2013年の年明けには股関節が疲労骨折寸前だったことを明かした石川遼選手。
2012年と言えば、米ツアーに本格参戦する直前。日本ツアーで史上最年少での通算10勝を挙げた年。石川選手と腰痛との付き合いは、もう随分長いことがわかります。
痛みを恐れながらスウィング改造をスタートしますが、「そこらへんから自分の歯車が狂ってきました」と振り返っていました。以下、囲み取材での発言を引用してみましょう。
「下半身が止まって上半身先行になり、軌道がアウトサイドインになってドライバーで球がまったくつかまらなくなっていました。そういうところからドライバーの不調も出ていて、自分の中ではスウィング改造が悪かったのかと思っていましたが根本的には股関節の痛みが怖かったんですよね」
スポーツ選手に怪我はつきもの。今、石川選手は「筋力がスウィングスピードについてきていない」と実感し、トレーニングの強度を上げているといいます。そして、「1日36ホールプレーして、腰の痛みが出なければ試合に出よう」と決めて臨んだ36ホールを痛みなく完走したことで、今週のエントリーを決めたようです。
今の状態はどのようなものなのか。練習日に撮影した最新の連続写真を見てみましょう。
まずは、明らかにフォローでの体のキレが増し、フォロー自体も大きくなっていることがわかります。打つ前の素振りの段階で、左への移動を抑え、その場で回転するイメージを出していましたが、腰の痛みを恐れずに、腰のキレで振ろうという意識が見えます。
私が注目したのは、フォローで手元が肩の少し上くらいにきたタイミングでの、石川選手の髪のなびき方(画像A)。さして長髪というわけではない石川選手ですが、女子プロのスカートがブワッと浮くように、髪が逆立つようになびいているのがわかると思います。
これはインパクト以降も体の回転を止めることなく最後まで回転スピードを維持していることの証拠。このことからも、腰の痛みを恐れずに振れていることがわかります。本人が言うとおり、体の状態は悪くなさそうです。
もうひとつ。かねて石川選手が課題に挙げていたインパクトでの手元の高さが、今週撮影した連続写真では、低いところに収まっていました。無理矢理作った手の低さではなく、キレのあるスウィングをする中で自然とそうなっている点は、ショットの安定度を高める上で好印象です。
スウィングのキレは十分。ただ、実戦から離れている分、今週どこまで結果を残せるかは未知数の部分もあります。プロアマの表彰式では、会場の宍戸ヒルズCCを評して「このコースは本当に大好きなんですけど、日本で一番苦手なコースです」と言って会場を笑わせていましたが、フェアウェイが狭く、ラフが長いこのコースは、課題だったドライバーの復調具合を測るにはいい舞台になると思います。
やはり、コースに石川遼がいるといないのとでは雰囲気が大きく違います。まずは痛みなく4日間を完走してもらいつつ、“強い石川遼”の復活を予感させるようなプレーを見せてもらえることを期待したいと思います。
撮影/姉崎正