小さなグリーンではなく、背後からヒタヒタと迫る全米オープン2連覇中のブルックス・ケプカだった。これまで最終日に崩れて優勝を逃すケースが多かったウッドランド。だが今回は最終ホールをバーディで締めくくりケプカに3打差をつけ完璧な勝利を飾った。
誰もが心のどこかでケプカの3連覇を望んでいたのではないだろうか。最終日の5ホール目で4バーディを奪ったケプカが「今日は自分の日だ」と思ってもおかしくなかった。
2009年からツアーに参戦しているウッドランドの大会前の世界ランクは25位。だが10年近いキャリアで優勝は3回だけ。ツアー屈指の飛ばし屋で「彼が思いっきり振れば一番凄い(飛ぶ)」と松山英樹にいわしめるパワーファイターなのだが、2017年以降のメジャー大会の最終日の累計スコアは14オーバー。この数字に関してのランクは234位と最終日に滅法弱い印象が付きまとう。
メジャー以外でも54ホールを終えて首位または首位タイに立ったのは8回。2019年初戦のセントリートーナメントオブチャンピオンズでは最終日68をマークしながら11アンダー62と爆発したザンダー・シャウフェレに逆転を許しトロフィーを手放している。
だが本人いわく「敗戦から学んだことは大きい」。これまでは「トップに立つと興奮しすぎてつい自分の気持ちやショットをコントロールできなくなっていた。でも今回は気持ちを先走らせることなく、大事なショットでは普段以上に大きな深呼吸をして心も体もその一打に集中できていた。特にメンタル面での成長を実感したよ」
3連覇を逃したケプカはいう。「自分がやれることはすべてやり尽くした結果。これ以上はない。
今週はゲーリー(ウッドランド)が素晴らしいプレーをした。脱帽だよ。彼の優勝は自分のことのようにうれしい」
実はこの2人、ギャラリーから「似ている」といわれることが多いそうで「間違われたことは1度や2度ではない」(ウッドランド)のだとか。
たしかに2人ともゴルフ以外のスポーツをやらせても非凡な才能を発揮しそうな立派なアスリート体型をしている。ケプカは野球、ウッドランドはバスケットボールでプロを目指す気持ちがあったとか。
それにしても敗れたとはいえ3連覇に限りなく近づいたケプカの底力には感服するばかり。彼にとってメジャーは「勝って当たり前」の試合なのか!?