昨年全英オープンを制し、今年のマスターズでもタイガー・ウッズと最後まで優勝を争ったイタリアの実力者フランチェスコ・モリナリ。月刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウが、ここ数年急激に強さを増したモリナリの秘密に迫るべく、本人に直撃取材!

こんにちは、ケンジロウです。ただいまコネチカット州への移動の飛行機の中で原稿を書いています。と昨日も書きましたが……そうなんです。全米オープンの会場から、トラベラーズ選手権の会場のコネチカット州TPCリバーラインズに向かっているのですが、まだその途上なんです。なかなか目的地にたどりつかない……。

雷雨のせいで飛行機の乗り継ぎが間に合わず、デンバーで足止めを食らい、やむを得ず一泊しました。再度デンバーからボストン空港に向かっているところです。まるまる一日ロスしてしまいました。

さて、今週のトラベラーズ選手権は毎年フィールドが厚いことが有名で、全米オープンとセットで出場する選手が多いんです。

出場選手は、ブルックス・ケプカ、フィル・ミケルソン、ジョーダン・スピース、ジェイソン・デイ、ジャスティン・トーマス、フランチェスコ・モリナリ、トミー・フリートウッド、バッバ・ワトソンなどなど、どうです? 顔ぶれ豪華でしょ?

そして先週の全米オープンでローアマをとったビクトル・ホブラン君がなんと今週からプロデビューします。プロ転向前にUSオープンのローアマをとるなんてストーリーができすぎていますよね。

今回出場する選手の中で僕が注目しているのが、モリナリ選手です。元々は兄のエドワルド・モリナリのほうが強くて有名だったのですが、ここ数年は立場は逆転、そして昨年のメジャー優勝で一気に実力者として名を上げました。先週の全米オープンでも優勝争いに絡むなど常に安定して成績を収めています。

なぜここ数年で急速に実力を上げたのか? その理由を練習場で垣間見ました。実は彼、練習中に素振りで“飛んでいる”んです。

画像: バックスウィングでパワーをため(写真左)、切り返しで沈み込み(写真中)、そこからジャンプするように地面の力を使っている(写真右)

バックスウィングでパワーをため(写真左)、切り返しで沈み込み(写真中)、そこからジャンプするように地面の力を使っている(写真右)

飛ぶといっても高くジャンプするわけではありません。切り返しで極端にしゃがみこんで、そこから下半身のバネでジャンプするようにして地面の力を使う練習をしているんです。

その素振りを見ると、バックスウィングでヒールアップして体をねじりあげると、切り返しで一旦しゃがみこんで間を作り、そこから一気に足を伸ばしながら振り切っています。球を打つときは、切り返し以降に右足を前に出すような練習もしていました。

日本のツアーで活躍するチェ・ホソンのスウィングを想像してもらえるとわかるかもしれません。ねじり上げて、しゃがんで、そしてピョン! と飛ぶ。その動きを繰り返しています。まさに「フライングイタリアン」。

その素振りを見る限り、地面からの反力と体の回転の力(回転力)をフルに使いたいのがわかります。実際に試合で打っているときは、ヒールアップこそしていますが、そこまで飛んだり、右足が前に出たりということはありません。素振りでジャンプを意識づけることで本番で体がその動きに近づくんでしょう。

練習が終わったあと本人にそのやり方とコツを聞いてみました。

「やっぱり飛距離が欲しいからね。地面からのパワーをボールに伝えられないかなと思って始めたんだ。バックスウィングではヒールアップしながら少し体が起きるイメージでパワーをため、切り返しでいったん沈み、そこから一気に跳ね上がる。上がって、下がって、また上がるような感じかな。素振りで大胆にやることで、本番でもその『アップ&ダウン』が意識できるんだ。2年前からこのスウィングにトライしてきて、練習を重ねてどのやり方が自分に合うか、試行錯誤しながらやってきたんだ。今はすごくいい感じに振れているよ」

画像: ケンジロウの直撃取材に答えてくれたモリナリ「」

ケンジロウの直撃取材に答えてくれたモリナリ「」

なるほど。なんでも、去年から今年にかけてドライバーのボール初速が約77m/sから78m/sに上がったらしいですよ。このレベルでのプラス1m/sは大きいですよね。

でも、スウィング中に上がって下がって、また上がるって、タイミングが難しくないのかな?

「新しいスウィングにトライするのは誰もが難しいことだからね。でも自分の元々の形を維持しながらプラスアルファしたからそんなにリズムは変わらないよ」

まさに“モリナリなり”の反力打法ってわけか。モリナリももうすぐ40歳になりますが、若手に飛距離で負けてられんと奮起したんでしょう。

飛ばなくて悩んでいるみなさん、試してみる価値ありそうじゃないですか?

写真/有原裕晶

This article is a sponsored article by
''.