「先輩の技は見て盗め」なんて言葉があるように、自分に足りないものを補うために他の人の技術を観察するというのはどこの世界にもよくあること。アース・モンダミンカップの練習日、上田桃子、永井花奈、小祝さくらの練習ラウンドにクラブを持たずについていったのは、この3人と同じ辻村明志コーチの教え子でもある山村彩恵だ。その理由を本人に聞いてみた。

また、練習のやり方も違うことに気がついた。プロの練習ラウンドでは、グリーンを外したときのことを想定してグリーン周りからのアプローチを入念に繰り返すのだが、そもそもの練習する“場所”が違っていたという。

「私は練習ラウンドでいろいろなところから『ここもやってみよう、あそこもやってみよう』ってアプローチの練習をしていたんです。でも、(上田は)“行っちゃ駄目なところ”は練習していなくて、もうそこにいっちゃったら仕方ないという感じ。ギリギリ外してもいいというところからアプローチをやっている。これも私にはなかったんですね」(山村)

冷静に分析し、自分との違いをひとつひとつ確認した山村はさらに続ける。

画像: トッププロの練習ラウンドは、同じプロから見ても学ぶことが多いのだ

トッププロの練習ラウンドは、同じプロから見ても学ぶことが多いのだ

「あとはティショットを打つとき。私は『右はダメだな、あっち(左)に打とう』っていうところまでしか考えていなかったんですけど、桃子さんは『右はダメだな、右にいかないためにはここを意識しよう』という、ちょっとした体の使い方だったり、気を引き締めるためのワンポイントをそのホールそのホールで作っていました。試合を想定しているラウンドってこれなんだなって」(山村)

と自分には足りないところを多く学べたと話した。練習ラウンドが終わったあと、上田は山村に激励の声をかけていた。上田は今季すでに2勝。賞金女王の経験も持ち、若年化している女子ツアーの中ではベテランだ。

先輩から後輩へ。このような現場はたまに見かけられる。シン・ジエや大山志保など、やはりベテランと言われる選手はその技術を惜しげもなく後輩へと伝える。悩んでいる若い選手に自分から声をかけることも。健全なスポーツマンシップを目の当たりにし、選手たちの切磋琢磨が垣間見えた。

取材大会/アース・モンダミンカップ 撮影/矢田部裕

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