「賞金女王を目指しているのに、このミスしているようじゃ無理だなって考えたときに、まずは一勝だよなって。じゃあ勝つためには何が必要かって考えたときに、それは冷静さだったんです。練習量とかじゃなくて。まだまだ試合あるじゃんって(笑)。(だからこそ)無理をせずに、自分ができることをしっかり判断して、できないことを無理にしなくなった、それが成長だと思います」

2戦連続で予選落ちしたことで、「受け入れることができるようになった」ことが成長につながったと原。初優勝の瞬間は、その4週間後に訪れた(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/大澤進二)
実は、ゴルフ自体の調子としては優勝した今年よりも、練習時間が多くあり、万全の状態で試合に出られていた昨年のほうがはるかに良かったのだという。
「なんなら去年は自分が完璧だと思ってました。でも、だからこそミスが受け入れられなかったんです。(予選落ちが目立つようになった)後半戦からは、自分がまだまだだって思ってしまって、自信も薄れてしまって、そこから立ち直れなかったんです。ダメな自分を受け入れて、なにが違うかを考えなければいけなかった。本当に低レベルな話なんですけど……」
“ダメな自分”を受け入れる。それにより、プレー中のミスも許せるようになる。完璧であることを目指すよりも、完璧でないことを受け入れられたことを、原は「自らの成長」なのだという。

「最終日のバックナインに強い選手になる」ことが目標だという(撮影/小林司)
そんな原に、賞金女王のさらに先の目標は? と聞いてみた。
「昨日(アース・モンダミンカップの最終日最終組を)戦ってきたから思うのかもしれないんですけど、まずは最終日のバックナインで強い選手になりたい。そこに強くなって、もう1勝早くしたいです」
返ってきた答えは、賞金女王の“先”ではなく“前”の目標に聞こえなくもなかったが、きっと原の中では整合性がとれているのだろう。最終日のバックナインで強い選手になるということは、もっと勝てる選手になるということであり、世界でも通用する選手になるということにもつながるはずだ。
海外に興味は? と最後に問うと、「(ゆくゆくは)行きたいと思っています。でも、まずは日本で。今は、今できることをしっかりやってからと思っています」と笑顔とともに原は言った。
ハタチの大器・原英莉花。どこまで成長していくのか、楽しみにしたい。