ゴルフの調子が悪いときほどスウィングフォームなど考えごとが多くなる。「それはアマチュアゴルファーだけでなく、プロもそういった状況になる場合があります」というのはメンタルコーチ・池努。どうすれば目の前のプレーに集中することができるのか、教えてもらった。

WHYの問いかけが雑念を呼ぶ

プロゴルファーからよく相談されることの一つに「ゴルフの調子が悪いとき、きまって雑念(考えごと)が多くなります。その雑念を減らすにはどうしたらいいですか?」というものがあります。

たとえば、ラウンド中にミスをするとどうしてもフォームのことばかりを考えすぎてしまい、ワンプレーワンプレーに集中できていない気がする。そして、ミスをする。そうするとまたそのミスのことを考えてしまい、さらに雑念が多くなる気がする。

当然、人ですので起きた事象に対しあれこれと考えるのは当たり前のことですが、きっとあなたも良いゴルフができているときはシンプルに目の前のワンプレーに対し思考しているはずです。今回はその雑念を減らし、ワンプレーに集中するための1つのテクニックをご紹介していきます。

まず、あなたはラウンド中にミスが出始めると頭の中でどんなことを考え始めますか? たとえば、ひとつ前のホールで簡単だと思っていたアプローチをオーバーさせてしまい、パーもしくはボギーで上がれると思っていたところをダボやトリにしてしまったとします。

きっと多くの人は「なぜ、オーバーしてしまったのだろう?」と思うことでしょう。そして、なぜ?と問いかけることでミスをした原因を考え始めます。フォームがおかしかったのでは。狙いがおかしかったのでは。練習不足なのでは。アプローチやっぱり下手だな。などと。

実はこのようになぜ(どうして/なんで)うまくいかないのだろう? と疑問詞“WHY”を使うことが雑念を増やす大きな原因となるのです。なぜなら、ラウンド中にミスをしたことに対し「なぜ?」と問いかけてもフォームなどの技術的な問題をプレーしながら解決することは簡単ではないからです。解決できないことを考えるわけですから、雑念は増える一方になるわけです。

画像: ミスした時に「どうして」「なんで」と“Why思考”にゴルファーは陥りがちだが、これがさらなる雑念を生む(撮影/増田保雄)

ミスした時に「どうして」「なんで」と“Why思考”にゴルファーは陥りがちだが、これがさらなる雑念を生む(撮影/増田保雄)

ちなみに、このWHYは「なぜ?」「どうして?」「なんで?」とその事象が起きた要因や原因をさがす疑問詞です。日頃の練習でのWHYを使った問いは有効です。前のラウンドで課題に対し「なぜ、あのミスをしたのかな?」と問い、その要因を見極めて課題解決の練習をすることはスキルアップにつながるのです。しかし、本番ではWHYではなく次の疑問詞を使うことでシンプルな思考につながります。

本番ではWHATでの問いが有効

本番で使っていただきたい疑問詞、それは“WHAT”です。WHATは「何?」と問いかける疑問詞です。

たとえば、前例と同じようにアプローチでミスをしたとします。そこで「次、何があればうまくいく?」と問いかけるのです。WHATは不明な対象を明確にする疑問詞です。「次、“何”があればうまくいく?」と問いかければ、次同じようなアプローチがあったときへの「対処法」を考えることができます。

「次はフォームのここにポイントを置こう」「ボールを落とすポイントをこうしてみよう」と。WHATで問いかければ、対象が明確になるため思考はシンプルになります。ですのでラウンド中はWHYよりWHATでの問いを使うことが雑念を減らしシンプルな思考にするコツになります。これはプロ選手にもお伝えするかなり有効なテクニックです。

また、この疑問詞WHATは気持ちを切り替えたいときにも使えます。「なぜ、ミスしてしまったんだろう?」と考え、なかなか気持ちを切り替えられないときは次のようなWHATを使った問いが有効です。

「次のホールは“何”に意識をむけたらいいだろう?」

「今“何”に集中するとナイスショットになるだろう?」と。

その問いをすればおのずと今ココに必要な意識や行動が答えとして出てくるでしょう。

「次はショートホールだから○○に意識をむけよう!」

「今回のティーショットは△△に集中しよう!」など。

今回の記事では、雑念を減らしシンプルな思考でゴルフをするために疑問詞WHATを使うことをおすすめしていきました。実際にラウンドでこの“WHAT”使ってみることでいつもよりシンプルな思考になり、気持ちも切り替えやすさを体感してもらえると思います。ぜひ、週末にラウンドがある方は試してみてはいかがでしょうか。

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