「毎週誰が勝ってもおかしくないほど競争が激しさを増している」byデシャンボー
PGAツアーの新規トーナメント「3Mオープン」は、初日に松山英樹が2位タイの好発進を切り2年ぶりのツアー6勝目に期待がかかったが、サンデーバック9でチャージならず。トップ10に入った(7位タイ)ものの優勝はお預けになった。
そんななか最終日最終組を回った2人のルーキーが記憶に残る激闘を演じた。
主役は20歳のマシュー・ウルフと22歳のコリン・モリカワ。年は2つ離れているが同じカリフォルニア出身でもあり、ともにアマチュア世界ランク1位の経験を持つライバル同士。
17番まで通算19アンダーで首位を並走していたが、前の組で回っていたツアー5勝のブライソン・デシャンボーが最終18番で気合のイーグルを奪って通算20アンダーで頭ひとつ抜け出したことで最終組の2人は最低でもバーディを獲らなければ勝てない状況に追い込まれた。
ところが2人とも池絡みのパー5でセカンドショットを涼しい顔でピンを狙い、カラーからパターで打ったウルフが劇的イーグル奪取に成功。モリカワのイーグルパットは惜しくも外れバーディ止まりでライバル対決は年下のウルフに軍配が上がった。
主催者推薦でツアー参戦わずか4試合目(プロとしては3戦目)での勝利。主催者推薦で出場した選手が優勝するのは16年以来3年ぶりだ。
今年は新人の当たり年といわれている。マスターズと全米オープンでローアマに輝いたノルウェー出身のビクター・ホブランが全米オープンで12位タイの好成績を収めた直後“クラス19”と呼ばれるウルフ、モリカワらが揃ってトラベラーズ選手権でプロデビュー。
ウルフはホブランドと同じオクラホマ州立大学を2年で中退しているが、他の2人は今年つまり2019年に大学を卒業しているので“クラス19”。同じ年にプロデビューしたのでウルフも含めた20歳から22歳のプレーヤーをマスコミがそう呼ぶようになった。
“クラス19”の前にツアーの中心勢力だったのはスピースらの“クラス11”。二十歳になる直前の2013年、スピースがジョン・ディア・クラシックでツアー初優勝を飾ったときにはセンセーショナルに騒がれたもの。だがときは流れ“クラス11”の面々はすでに25歳あるは26歳になりもはや若手ではなく中堅の域に達した。デシャンボーも然り。若手の突き上げを痛いほど感じる25歳は「毎週誰が勝ってもおかしくないほど競争が激しさを増している」と実感を込めた。
髭をたくわえ緊張とは無縁の優勝争いを演じたウルフはとても20歳には見えない。だがイーグルを決め勝利を確信した瞬間はキャディと抱き合って涙する初々しい一面も。
「感情的な方じゃないけれど自然と涙が溢れてきてしまいました」。アマチュア時代から凌ぎを削ってきたライバルに競り勝ったウルフ=狼はタイガー=虎の後継者になれるか?