タイガー・ウッズも北アイルランド出身のローリー・マキロイも、そして松山英樹も予選落ちし、予想外な展開で最終日を迎える今年の全英オープン。現地取材を行う週刊ゴルフダイジェストの特派記者が、3日目に起きた意外な様子をレポート!

ローリーはローリーでもシェーン・ローリー

「オ~レ~、オレオレオレ~、ロ~リ~、ロ~リ~♪」

サッカーで馴染みのチャント(いわゆる応援歌)をゴルフコースで聞くとは思わなかった。最初は12番ホールのグリーン上。わずか2~3人くらいの声で、すぐまわりのギャラリーに一笑に付された。それが、17番ホールグリーン上でもう一度起こると、今度は先ほどより人数が多く(それでも10人ほどだが…)、大きな声に。そして18番ホールで合いの手を打つように2~3カ所からチャントが聞こえてきた。

まさに予想外。決勝ラウンドには、北アイルランドのアイドル、ローリー・マキロイも、ゴルフ界のスーパースター、タイガー・ウッズもいない。そして、1年間予選落ちがなく、少なくとも予選ラウンドは通過するだろうと思われた我らが松山英樹の名前すらない。

また週間天気予報で週末は荒天とのことだったのに、3日目は1組から37組までどの組もラウンド中、一度も雨に降られず、またリンクスなのにほぼ無風。こうなっては、前日まで下位に沈んでしまったプロはスコアをひっくり返すのも難しい。

画像: 3日目最終組が18番ホールグリーン上へ来た時のメディア席からのスタンドをみた景色。このタイミングでチャントが木霊した

3日目最終組が18番ホールグリーン上へ来た時のメディア席からのスタンドをみた景色。このタイミングでチャントが木霊した

そして、冒頭のチャントである。そもそもゴルフの応援は「カモン、○○!」、「ゴー、○○!」や「ゲットインザホール!」といった叫び声に近い短い言葉であり、音にのせて奏でるチャントはない。もちろん、ほろ酔い加減の男性がふざけ半分で歌い始めたとは思うが、それを許容(ないしは、ノル)してしまうのも、飾らない全英オープンならではか。

そして、“ローリー”。チャントで謳われる“ローリー”とは、前述のように予選落ちした“ローリー”・マキロイではなく、隣国アイルランドからきたシェーン・“ローリー”。多くの人にとってこれがいちばん予想外だったはず。

シェーンはほぼ無風となったこの日、ベストスコアとなる「63」で回り、単独トップにたった。それも2位に4打差をつけてのほぼ独走状態。しかし、最終日に追われる立場になるし、さらに、明日(日曜)の天気はギャラリーが待ち望んでいた荒天予報。風がランダムに吹き荒れると今日のようなビッグスコアになりにくいばかりか、スコアを崩す可能性も高い。

いよいよ最終日。荒天予報のため試合開始は早まって、最終組はこちらの時間で13時47分(日本時間の21時47分)スタート。あと約12時間後、68年ぶりの北アイルランドで「クラレットジャグ(全英オープントロフィ)」を掲げるゴルファーが決まる。

取材・文/山口哲平

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