Z585を手に全英オープンを制した
スリクソンZ585を手に全英を制したローリーだが、実は今年の初めはキャロウェイの「エピックフラッシュ サブゼロ」を使用していた。それを「Z585」に持ち替えて、欧州ツアーで勝利。直近5試合でトップテンが3回、うちトップスリー2回と調子を挙げて地元開催の全英を迎えていた。
日本製ドライバーの海外メジャー勝利。クラブコーディネーターとして活躍する鹿又芳典は、これを地道な企業努力の成果と評価する。
「スリクソンはダンロップの世界戦略ブランドとして、PGAツアーや欧州ツアーでの契約選手を地道に増やしてきていました。PGAツアーの選手たちは自分たちが使うクラブに対する要求や理想のレベルが極めて高いのですが、クラブ自体、そんな彼らが使うレベルにまで商品力を高めてきたと言えるでしょう」
ローリー自身ブランドへの愛着は強く、もともとユーティリティやアイアン類はスリクソンブランドを使用していたこともあり、スリクソンで統一したいという意向は持っていたようだ。
ただ、結果が伴わなければ彼らはクラブを替えない。Z585の性能に納得したからこそのチェンジであり、それがハマったからこその全英制覇ということになるだろう。
全英オープン優勝クラブのうち、スリクソンブランドでないのはテーラーメイドのM4の3番ウッド、そしてオデッセイストロークラボのパターの2本だけ(ウェッジは同じくダンロップ傘下のクリーブランドのRTX4を使用)。ローリーの勝利は、ジャパンブランドの勝利とも言える。
ローズは本間ゴルフと契約、ケプカは契約外でミズノのアイアンを使用
なんとなく「外ブラに押されてる」という印象のある日本メーカーのクラブだが、「なかなか注目されにくいけれど、日本メーカーのギアは海外で評価されているし、結果も出していることは声を大にして言っていいこと」と鹿又は指摘する。
「たとえばジャスティン・ローズは本間ゴルフのクラブで勝っていますし、北米ではタイガー・ウッズの使うブリヂストンのボールが高く評価されています。ミズノのアイアンの評価の高さは言うに及ばず、三菱ケミカル、フジクラ、グラファイトデザインなどのドライバーシャフトも“飛ぶ”という評価でPGAツアー選手たちが多く採用しています。また、日本シャフトのモーダスシリーズのアイアンシャフトは、メジャーも複数制していますし、ウェッジシャフトも含めて大人気です」(鹿又)
ローリーの全英制覇は、日本ブランドのさらなる躍進のきっかけとなるかーー。