超小型ドライバー? 超大型スプーン?
6月に日本でもカスタム専用モデルとして発売になった、テーラーメイド「オリジナルワン」をようやく試打することが出来たので、改めて紹介してみたい。「オリジナルワン」は、ヘッド体積が275ccの“ミニドライバー”というコンセプトのクラブだ。ロフト角は、11.5度と13.5度がラインナップされている。
こうしたクラブが登場する背景には、大型ヘッドを苦手にするゴルファーが一定数存在することがある。275ccといえば、ちょうど20年前のチタンドライバーの大きさだ。当時は、それでもデカヘッドでやさしいなどと言っていたのが懐かしい。
現在、ヘッド体積は460ccが主流、近年はシャローバックにして投影面積をさらに大きく進化しているので、見た目はさらに巨大化している。大きければそれだけ安心感もあり、フェースの面積が広がれば、それだけ当たる確率も上がるわけだが、他のクラブと大きさがかなり違うこともあり、上手く振り切れない人も少なからずいるのが現状だ。場合によっては、ダウンスウィングをスムーズに下ろせない、ドライバーイップスになる人もいる。
「オリジナルワン」はそんなニーズから生まれたのだろう。スプーンよりも約100ccほど大きい分、FWやUTで打つよりも安心感があり、長さは推奨で43.75インチ(※カスタム可能)と、短い分、振り切りやすくもなっているというわけだ。ドライバーが苦手な人のためのティショットギアというコンセプトは、新たなカテゴリーになる可能性もある。
ヘッドは小さいが、「オリジナルワン」には現代のテクノロジーがぎっしり詰まっているのが嬉しい。カーボンクラウンを採用した低重心設計で、現代のドライバーらしいシャローバック形状。おなじみのテーラーメイドのキーテクノロジー「ツイストフェース」、「貫通型スピードポケット」も搭載されている。
シャローバック形状とカーボンクラウン、そして50gものソールプレートと相まって、非常に重心位置が下がっている。ここが20年前のチタンドライバーと最も異なる点だろう。このおかげで、弾道は高弾道で吹け上がらずに飛ぶ、現代風の飛び様になる。また、意外に地面からでも打てる。ボールが拾いやすく、低めの弾道で距離を稼げる。ロフト角を考えると、この地面からの打ちやすさは特筆されるだろう。
弾道は、ややスピン量が多く、飛びというよりも安定感を求めているのが伺える。とはいえ、H/S42〜43m/sの筆者が230〜240ヤードくらいコンスタントに飛ばせるので、飛距離性能もなかなかだ。少なくとも3番ウッドよりはかなり飛ぶし、やさしさも段違いにある。
ドライバーに苦手意識がない人には、必要のないクラブだと思っていたが、これだけの性能を見せられると、認識を改めたほうが良いかもしれない。たとえば、バッグに飛ぶドライバーと、置きにいくドライバー=「オリジナルワン」の2本を入れて、ホールによって使い分けるとか。そんな楽しみ方もできそうな新アイテムに仕上がっている。このモデルがヒットしたなら、他のメーカーが追随する可能性もあるだろう。