練習ラウンドで課題を見つけ、本番で“実力以上”を発揮する
水曜日、淺井咲希選手、江原詩織選手と3人で練習ラウンドをプレーした渋野日向子選手。終始リラックスした雰囲気の中でコースをチェックしていました。
会場である利府ゴルフ倶楽部の仕上がりはフェアウェイ、ラフとも素晴らしく、グリーンは硬く、スピードも出ています。選手たちは風も強く吹く中で、ティショットの狙いどころ、グリーン周りやグリーン上のチェックを入念に行っていました。
さて、渋野選手です。見たところ、先週の最終日8打差逆転優勝の調子を維持しているようでショットの調子は上々。とくにドライバーの安定度は抜群でした。インパクトは通過点に過ぎないということを体現するような、フォローに向けて加速するスウィングでフィニッシュまで一気に振り抜き、ボールの行方を最後まで追うことなく目を離す様子は全英女子オープンで見せてくれたものと同じ。
プロにとって、ティショットの行方を最後まで見ないのは「狙い通りに打てた」ということの証明。それができているということは、調子がいいということの証です。
とはいえ、練習ラウンドを見ていると、時折ミスショットとまではいきませんが、思ったような結果にならないショットも出ます。普通の選手であれば打ち直したりして、悪い感触を拭おうとするものですが、渋野選手の場合、そういうショットからラウンド後の練習のテーマを見つけているようにも感じました。
2打目のアイアンショットでは、3日間の試合で想定されるピン位置を狙って打っていましたが、試合中の渋野選手のプレーと比べると、明らかに本番でのプレッシャーがかかった場面のほうが実力通り、あるいは実力以上のパフォーマンスを発揮していることがわかります。
先週の「デサントレディース」最終日で見せてくれた16番ホールでグリーンを外してからのチップインバーディはいい例だと思いますが、そういう土壇場の場面ほど力を発揮できるところに大きな魅力を感じます。ここぞという場面で期待以上のプレーをしてくれるところは、スーパースターの条件。渋野選手はその階段を着実に上っているように見えます。
彼女のスウィングは、腕が体の正面から外れないところがポイントの一つだと思いますが、その動きがわかりやすいアプローチショットで見てみましょう。ボールを右足寄りに置いてランニングアプローチぎみのショットです。
腕を伸ばしてハンドダウンで構え、右の画像では手元はまさしく体の正面にあり、インパクトでもその関係性は変わっていません。手先を使わずに首の付け根を支点に振り子のように振っています。
テレビや雑誌などメディアの取材も多く注目度が高い中での先週の優勝に「まさか優勝するとはねぇ」とは本人の弁。今週の予選ラウンドでは「日本女子プロゴルフ選手権」優勝の畑岡奈紗とディフェンディングチャンピオンの大江香織との組み合わせです。自身初の2週連続優勝への期待も高まりますが、こういうときになにかをしてくれる期待感が、今の彼女にはあります。
今週も初日から目が離せない、楽しみな週末になりそうです。