セット内の“飛距離環境”を整える、コンビネーションアイアンのススメ。
PGAツアープレーヤーを間近に観るチャンスとなれば、まずは豪快なドライバーショットに期待してしまうところだが、ギア的な興味からすれば見どころはむしろ、アイアンやウェッジのコンビネーションにあるといえる。
現在のPGAツアーでは、複数のモデルを組み合わせてセットを構成する“コンビネーション・アイアン”スタイルが主流。たとえばタイトリスト契約のジャスティン・トーマスは、基本的にはマッスルバックの620MB(#5〜#9)を使用しているが、4番アイアンだけはタングステンなどを内蔵したT100アイアンにしている。
また、ZOZOでも活躍が期待されるジョーダン・スピースは、T100アイアン(#5〜#9)に、新しいユーティリティアイアンU500の#4を組み合わせている。
こうした“コンビネーション”スタイルが当たり前となった背景について、タイトリスト ゴルフクラブR&Dのシニアバイスプレジデント(責任者)、ダン・ストーン氏に聞いてみた。
「世界のトッププレーヤーでも、ロングアイアンについてはミスに対する許容性と正しくキャリーを刻むための高さを必要としているということです。それは単に遠くに飛ばす、という意味ではありません。より正確にその番手の距離を刻み、その下のアイアンとの番手間ギャップを均等に保つことが求められているのです」(ダン氏)
アイアンの番手間ギャップは10〜12ヤード刻みが理想とのことだが、トッププレーヤーでもミドル・ショートアイアンの扱いやすさで選んだアイアンでは、ロングアイアンにある種の“厳しさ”、“不足”を感じるのだという。
そこで、その不足を感じる番手のみ、違うアイアンモデルにしたり、ユーティリティ的なハイテクモデルにしたりしているのだ。
現在のアイアンは、だいたい6番アイアンからピッチングウェッジまでがセットになっており、3番、4番、5番は単品販売になっているケースがほとんどである。
現在の愛用アイアンを振り返った時、6番や7番アイアンに不足を感じているならば、思い切ってアイアンセットを最新モデルに新調することをオススメするが、5番より上が厳しくなってきた! というならば、その番手のみ最新アイアンに替え、従来セットにコンビネーション。そうすることで費用を最小限に抑えつつ、セット内の“飛距離環境”を整えることができるのである。
PGAツアープレーヤーのセッティングの注目ポイント/真似どころは、もう一つあるが、それについては来週ご紹介したい。