2019年の女子ツアーは渋野日向子を中心とした黄金世代の活躍が目立った。そんな中、黄金世代のひとつ下の世代の日本人選手として“初勝利”を挙げたのが稲見萌寧。彼女は一体どんな選手なのか。そして、来季に向けてどのような思いを抱いているのか? 取材した。

1999年7月29日生まれ。小学生時代から「1日10時間」練習している

稲見萌寧(いなみ・もね)。1999年7月29日生まれ、東京都豊島区出身。9歳のころ、父とともにレッスンを受けたのがきっかけでゴルフを始め、小学生のころは朝の4時半から新東京都民ゴルフ場で18ホールプレーしてから通学。放課後も練習場へ行き、毎日10時間ゴルフと向き合ってきた。

画像: 2018年のプロテストに一発合格し、プロの仲間入りとなった稲見萌寧(写真は2019年のセンチュリー21レディス 撮影/岡沢裕行)

2018年のプロテストに一発合格し、プロの仲間入りとなった稲見萌寧(写真は2019年のセンチュリー21レディス 撮影/岡沢裕行)

ただ、東京ではゴルフの環境がいいとは言い難く、中学進学を機に千葉県の「北谷津ゴルフガーデン」の近くに父とともに転居。その後も1日10時間練習と続け、プロになった今も試合がないときは10時間練習を続けているようだ。

以前、長時間の練習をプロになった今も続ける理由を聞いたことがあるが「楽しかったから今も続けてます」と教えてくれた。

稲見萌寧がプロ合格したのは2018年。20位タイの“ギリギリ合格”だった

そんな努力家の稲見がプロテストに挑戦したのは2018年。8アンダーの20位タイと、“しんがり”でギリギリ合格し、晴れてプロになった。2018年は3試合に出場。プロ転向後、最初の試合となった「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」では最終日に66と爆発的なスコアを出し、11位タイと好調なプロ人生のスタートとなった。

画像: 2019年シーズン前半で好成績を残し、第1回リランキングは14位と上位につけた稲見萌寧(写真は2019年のmeijiカップ 撮影/岡沢裕行)

2019年シーズン前半で好成績を残し、第1回リランキングは14位と上位につけた稲見萌寧(写真は2019年のmeijiカップ 撮影/岡沢裕行)

しかし2019年シーズンの試合に出場する切符を手に入れるためのQT(来季の出場権を決める予選会)では、言わば予選会の予選会とも言えるサードQTで敗退と2019年シーズン前半は“主催者推薦枠のみ”という限られた試合数で戦うこととなった。

2019年シーズンは主催者推薦からチャンスをつかみ、初優勝にまで漕ぎ着けた

そして迎えた2019年シーズン、稲見が狙ったのは、そこまでの順位でそれ以降の優先出場が得られる「リランキング」で上位に入ること。第1回のリランキングは6月の「アース・モンダミンカップ」終了後に行われ、翌週の「資生堂アネッサレディス」より出場資格を付与される。稲見はリランキング上位に入るため、「ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディスカップ」以降、7試合を主催者推薦枠で出場し、トップ10入り3回。その結果、第1回リランキングは14位(1012万7333円)と上位につけ、以降の試合に弾みをつけた。

画像: 2019年7月の「センチュリー21レディス」で初優勝を挙げた(写真は2019年のセンチュリー21レディス 撮影/岡沢裕行)

2019年7月の「センチュリー21レディス」で初優勝を挙げた(写真は2019年のセンチュリー21レディス 撮影/岡沢裕行)

自力で出場権を得た「資生堂アネッサレディス」では9位タイ。翌週の「ニッポンハムレディスクラシック」では2位タイと優勝争いも経験。そして7月の「センチュリー21レディスゴルフトーナメント」では通算9アンダーで初優勝を挙げた。そのあとも優勝争いや上位争いを何度も経験し、賞金ランクは13位(7187万3338円)と見事な成績を残した。

初シードの感想は? 「QTを受けなくていい安心感があります」

そんな稲見は初シードの喜びをこう語る。

「とりあえずQTを受けなくていいという安心感があります。あとは、来年は全試合出場がきまっているので嬉しいです」(稲見)昨年挑戦したQTで過酷さを痛感したからこそ、シード選手になれたという喜びが大きいようだ。

今季1勝を挙げた稲見は来季の目標を「まずは2勝目」とあげ、そのあとについても「いけるところまで行きたいと思っています」と話していた。“いけるところまで”というのは、何勝でもしたいという意味だ。

画像: 得意なクラブを問うと「アイアン全般です!」と教えてくれた(写真は2019年のmeijiカップ 撮影/岡沢裕行)

得意なクラブを問うと「アイアン全般です!」と教えてくれた(写真は2019年のmeijiカップ 撮影/岡沢裕行)

パーオン率は全体1位! 課題はパッティング

スタッツからは、2勝目、3勝目が遠くないことが予想される。もっとも数値がいいのはパーオン率で78.2079%と堂々の1位。それ以外にもパーセーブ率87.4552%(6位)、平均バーディ数3.4194(11位)、バウンスバッグ率21.3415%(5位)と全体的に数値が安定している。

あとは自身でも課題と挙げているパッティング次第か。1ラウンド当たりの平均パット数のスタッツをみると、30.8387で94位。パーオン率が高いとパット数が増えるのはある程度仕方のないことだが、他の数値と比べると、やや物足りない。

「今季レギュラーツアーで戦ってきて、一番変わったと思うのは練習配分です。今まではショットが好きということもあってショットの練習が多かったけど、今はアプローチとパターの練習量を増やしました。ずっと課題としているのがパターなので、オフシーズンもパターの練習は少し多めにしたいと思います」(稲見)

次の1勝だけではなく、いけるとこもまでいきたいという強い想いを持つ彼女はさらに女子ツアーを盛り上げてくれることだろう。

初シード獲得、稲見萌寧のプロフィール

名前稲見萌寧(いなみ もね)生年月日1999年7月29日ゴルフ歴9歳~
出身地東京都豊島区身長166センチプロ転向2018年7月28日(90期生)
出身校日本ウェルネススポーツ大学在学中血液型A型得意クラブアイアン全般
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