タイガーは現在オリンピックランク6位
明けましておめでとうございます。2019年が終わり、2020年がスタートしましたね。待ちに待った東京オリンピック開催年です。2016年のリオ五輪から競技種目としてゴルフが復活、今年は各国のトップ選手たちが日本に集結し栄誉を競い合います。
ということで、少し気が早いかもしれませんが、お正月はオリンピックでの活躍が期待される注目選手たちのスウィングを改めて分析してみたいと思います。
一人目はタイガー・ウッズ。度重なる故障でツアー不在の時期もありましたが、見事復活を果たして2019年はマスターズを制覇、11月に日本で開催されたZOZOチャンピオンシップではツアー通算82勝目を勝ち取りました。現在のオリンピックランキングは6位、選手層の厚い米国選手の中でも4位と、オリンピック出場資格を持つ選手の一人です(2019年12/25時点)。
飛ばしに必要な「3つの動き」を取り入れたスウィング
タイガーと言えば、スクェアにスウィングする代表選手でしょう。アイアンやアプローチなどの弾道や球筋を自由自在にコントロールできるのも、フェース開閉の技術が高いがゆえ。ドライバーを強く振ったときに曲がることもありますが、驚異的なリカバリーを見せてくれるところもエキサイティングなタイガーのプレーの一面です。
まずはアドレスから見ていきましょう。左かかとの内側辺りにボールを置き、握り方は左手のナックルが2つ見えるスクェアグリップ、右手はそれと同じ角度で添えられています。手元の位置は左内もも辺りで、頭がそれよりもやや右側にあります。大変バランスが良く、動き出しがスムーズに行える立ち方と言えます。ティアップしたボールを打つためのお手本になるポジションですね。
バックスウィングで注目したいのが、右腰の位置。クラブを上げていっても大きく右に移動することはなく、アドレスでの位置とほとんど変わっていません。ですが骨盤自体はしっかり回転しているので、下半身を止めて上半身をねじるような若い頃のスウィングとは違い、体の負担の少ないバックスウィングにマイナーチェンジしています。
加えて左ひざもアドレス時からほとんど動かず、斜め外側を向いたままです。腰の動きに流されずに左ひざの向きをキープすることで、左足の裏から背中にかけての筋肉にテンションがかかり、インパクトに向けてエネルギーを溜めているんです。
トップから切り返しではわずかに左側に踏み込むことで、重心を左側へ移動させながら地面反力を使う準備を行っています。
ダウンスウィングでは体の回転でクラブを下ろし、インパクト手前から踏み込んだ左足を伸ばすことで地面からの反力を活用して振り抜きます。水平方向へのスライド、体の回転、そして地面反力。飛ばしに必要な3つの動きを非常に効率よくスウィングに取り入れています。そのことで第一線で戦える飛距離を生み出しているのです。
故障を経て体への負担が少ないスタイルへスウィングを変え、現在の大型ヘッドドライバーにアジャストしながら結果を出し続けてきているタイガー。強力な若手選手たちがひしめく現在のPGAツアーでも、その存在感はずば抜けていますよね。
昨年のマスターズ、ZOZOチャンピオンシップ優勝によって、現在ツアー通算82勝、メジャー通算15勝のタイガー。故サム・スニードが樹立したPGAツアー最多勝記録に並び、さらにはジャック・ニクラスが打ち立てたメジャー最多勝記録の18勝も視界にとらえています。
昨年末(12月30日)に44歳となったタイガーですが、これらの歴史的記録を塗り替えるチャンスは十二分にあるでしょう。さらに、1904年以来長らくオリンピック競技種目から外れていたこともあり、前出したレジェンドたちも成し得ていない五輪制覇の称号を手にしたらと思うと……今からワクワクしてしまいますね。