発売から約9か月も、G410プラス人気は衰えず
2019年人気を博したドライバーと言えば、PINGのG410シリーズだろう。もともとミスに強く、やさしいとアベレージゴルファーに人気のシリーズではあったが、契約プロである渋野日向子がメジャータイトルである全英女子オープンに優勝、同じく鈴木愛が2019年の賞金女王に輝くなど話題にも恵まれ、発売から半年たっても人気はほとんど衰えていない。
そんなG410シリーズにはG410プラス、G410LST、G410SFTと3つのヘッドが用意されている。これらのヘッドはどんな違いがあり、どんなゴルファーに合うのかをクラブフィッターの小倉氏に解説をお願いした。
今回の検証には3タイプの同じロフト(10.5度)のヘッド、同じシャフト(ALTA J CB REDの45.75インチ、Sフレックス)を用意し、実際に試打をしてもらいながら解説を依頼した。
G410シリーズ全体の特徴は?
最初にG410シリーズ全体の特徴について、小倉氏に解説してもらった。
「G410シリーズの共通点として重心が深く、そして低く設計されていて打点のミスに強く、曲がりが少ないという特徴があります。直進性を高めることで思い切ってスウィングしやすく、インパクトでスクェアにフェースが戻せれば多少の打点のミスはカバーしてくれる、大きな怪我になりづらい設計のシリーズと言えます」
この基本性能をベースに、3タイプごとに性能を変えることで、より多くのゴルファーに合うように設計されているという。
スタンダードなG410プラス
最初に解説をお願いしたのはG410プラス。G410シリーズのスタンダードの位置づけになるモデルで、渋野日向子プロが使用したことでも話題となった。
「性能としては前述した基本性能に忠実に作られていて、打点のミスに強く、曲がりが少ないです。構えてみると投影面積も大きく、とても安心感がありますね」
ヘッド後方には脱着可能な可変ウェートが搭載されているのも特徴のひとつ。これである程度重心位置を調整することができる。
「ミスに強く直進性の高いモデルにするにはどうしても重心距離が長くなりがちで、フェースローテ―ションを積極的に行うゴルファーにはフェース管理が若干難しくなります。そういったゴルファーでもこの可変ウェートを使って自分のスウィングでフェース管理をしやすい重心位置に変更することでスクェアなインパクトを迎えやすく調整できます。いわゆるつかまり具合を自分でチューニングできるようになっているのです」
試打では可変ウェート、ロフト調整機能はいずれもニュートラルな位置にセットした。実際に小倉氏に打ってもらった感想はこうだ。
「バックスピンは適度に入るのですが、サイドスピンが少なめで直進性が非常に高い。打ち出した方向に素直に飛んでいってくれます。球の高さはやや高めでパワーがそれほどなくてもキャリーが稼げるので安定したティショットが打てるクラブだと思います」
バックスピンが少なく強めの球が打てるG410LST
続いては、G410LST。LSTとはロースピンテクノロジーの略称で、2019年シーズンの賞金女王、鈴木愛の使用ドライバーでもある。プラスとLSTでは、どんな違いがあるのだろうか。
「プラスと比べて重心位置を調整することでバックスピンを減らし、パワーのあるゴルファーが使用しても飛距離ロスが少なくなるように設計されています。ヘッドサイズはわずかにLSTのほうが小さく、形状も微妙に違うため、LSTのほうがシャープな印象を与えてくれます。とはいえ十分な安心感のあるサイズで不安感はまったくありません」
プラス同様、可変ウェートは搭載されていて、重心位置を調整してつかまり具合を変えることができる。小倉氏がLSTを打った感想はこうだ。
「プラスと比べてバックスピンは少なめで強い弾道が打てました。つかまり具合に大きな差は感じませんでした」
LSTは重心が浅めになっているため3モデルの中では一番操作ができるモデルでもある。ということで、小倉氏にボールコントロールが可能かどうかも試してもらった。
「操作できることはできますが、直進性が高いため、大きな曲がりにはなりませんでした。ボールを大きく曲げて操作したいという方は、G410シリーズ以外のモデルのほうが良いでしょう」
3モデル中もっともつかまる「G410SFT」
最後はG410SFT。SFTとは「ストレートフライトテクノロジー」の略称だが、どういった性能のモデルなのだろうか。
「SFTを直訳すれば真っすぐ飛ぶといった意味ですが、性能的にはスライス抑制といった特性になっています。プラスと比べて、重心をヒール寄りにすることでヘッドのターンを促し、インパクトでフェースをスクェア以上に戻しやすくすることで右へのミスを起こしにくくなるような設計になっています」
その特性ゆえか、可変ウェートはヒールよりの位置で固定されていて動かせないようになっている。
「形状もその特性に合わせているのか、投影面積が一番大きく見えますね。ヒール寄りにボリュームがあるので形状的にもつかまりが良さそうに見えます」
小倉氏は「SFTはかなりつかまり性能が高まっている印象です」という。
「真っすぐ打ち出しても落ち際でややフック気味に飛んでいきますし、強振すると初めから左に飛び出すことが多かったです。これはスライスや右プッシュに悩むゴルファーには効果が高いと思います」
どのヘッドもミスに強いモデルであるG410シリーズ。小倉氏によれば、「安定したドライバーを求めるならG410はもちろんオススメのシリーズですが、スライスが多いならSFT、スピンが多いならLSTと、悩みに合わせてタイプを選ぶとより安定したティショットが手に入るでしょう」とのこと。是非参考にしてみて欲しい。
協力/ユニオンゴルフクラブ