大事なパットだと思えば思うほど、いつものように打てなくなるパッティング。プロも教えるメンタルコーチ・池努にパッティングのメンタル術を教えてもらった。

前回の記事ではゴルファーのスコアづくりに向けた課題のひとつである「グリーン上でのメンタル」をテーマに重要な3つのポイントの1つ目である「思考を変える」についてご紹介していきました。

結果思考が過緊張やプレッシャーにつながり、パターのパフォーマンスに制限を掛けている可能性が高いのでグリーン上で自身がとりたい行動目標に意識を向けていくことをおすすめしました。

今回の記事では3つのポイントの2つ目である「行動を変える」についてご説明していきます。

パットするまでの行動を変えてみよう

これは簡単に言うとパターを打つまでの行動を変えることを指します。ちなみにあなたはパターを打つ前にどんな行動をしていますか? たとえば、こんな感じでしょうか。

「ボールの前後から傾斜や芝目を読み、ラインと転がすイメージを決める」→「ボールの横で素振りを2回する」→「打つ」

このように「ある特定のプレー(ここではパッティング)の前にあらかじめ決めておいた行動の順序を守り、一定のリズムで遂行すること」をプレパフォーマンスルーティン(以下ルーティン)と呼びます。

ゴルファーを観察していると多くの方は“ルーティンのようなもの”は持っています。先ほどもパターを打つ前にどんな行動をしていますか? と質問しましたがきっとあなたも無意識的にパターを打つ前に同じような行動をとっているはずです。

このようにいつのまにか無意識でやってしまっているものは“ルーティンのようなもの”であり、本当のルーティンではありません。なぜなら、「意識的な行動をとること」がルーティンの目的である不必要な思考やストレスを軽減させ、集中力が高い状態でプレーを遂行することにつながるからです。

歯磨きを例にすると分かりやすいと思います。おそらく誰もが歯を磨く順序があると思います。下の歯の左奥から前に、次に右奥から前に、次の上の歯の左奥から……というふうに無意識にいつも同じような順序で磨いていると思います。

無意識的にその順序で磨けるので私たちは歯を磨きながらも別のことを考えることができます。歯を磨きながら「今日のゴルフは〇〇さんとだからいいところを見せたいな!」「今日の仕事はアポイントが沢山あり、少し憂鬱だな」「(鏡を見ながら)目が充血しているな」というように歯磨きという行動とは関係のない物事への思考をすることができます。

画像: 打つ前に決めていた行動をとることで集中力を高めることができる(写真は2019年の日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 撮影/岡沢裕行)

打つ前に決めていた行動をとることで集中力を高めることができる(写真は2019年の日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 撮影/岡沢裕行)

話を戻すと、上で紹介した無意識で行っている“ルーティンのようなもの”でパッティングをすると「目の前のパターでベストプレーをする」ことに不要な思考が差し込んでくるわけです。歯磨きをしながら他のことを考えられるのと同じで「またショートしたらどうしよう」「また外したら恥ずかしいな」「ここで外したらまた流れが悪くなる」と色々、考えてしまう。

このようにラウンドやコンペだからこそ、不要な思考を停止させるためにルーティンに最大限集中することがおすすめです。たとえば、実際にサポートするプロゴルファーが行っているルーティンを紹介します。

【1】深呼吸を気持ちを込めて2回する 
【2】ラインと転がすイメージをつくり頭に焼き付ける
【3】2回の素振りでカップとボールにラインを描き転がって入るイメージをする
【4】打つ

それほど変わったルーティンではありませんが、このルーティンにリラックスした状態で意識的に注意を向けて丁寧に遂行するわけです。ボールをカップに入れることに注意を向けるのではなく、ルーティンという行動に注意を向けていくわけです。これが「グリーン上のメンタル」の重要な3つのポイントの2つ目「行動を変える」ということです。

ルーティンという行動に意識を向けることで不要な思考がいつもよりシャットアウトできることに気がつくはずです。ぜひ、練習やラウンドで試してみることをおすすめします。

次回は「グリーン上のメンタル」の重要な3つのポイントのラスト「脳を変える」をご紹介していきますね。

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