前週の試合では自己ワーストの「81」
メジャー通算4勝、つい6週間前まで世界ランク1位(計47週間)に君臨していたブルックス・ケプカが、プレーヤーズ選手権の大会事前公式記者会見で「深刻なスランプ中」と告白しました。
地元で開催されたホンダクラシックでは8オーバーで予選落ち、先週のアーノルド・パーマー招待では3日目に「81」を叩き47位と低迷。 今シーズンはまだ上位に絡むトップ10フィニッシュはありません。
そこでアーノルド・パーマー招待終了後の日曜日に、ケプカは急遽予定を変更。フロリダから、約4000キロ離れたラスベガスに飛び、過去にタイガー・ウッズやグレッグ・ノーマン、フィル・ミケルソンらを指導した巨匠ブッチ・ハーモン氏にアドバイスを求めに行ったことを明かし、話題となっています。
昨年秋に左膝の手術をした後、韓国開催の「CJカップ」で再度膝を痛め「プレジデンツカップ」を欠場していたケプカですが、今回の不調については「膝の影響ではないです」と一蹴。
「先週土曜日にコーチ陣と相談をしたんだけど、いろいろスウィングのことを考えすぎて頭がパンクしそうだったから、クリアにして明確にする必要がありました。すべてうまくいっていなくて失敗ばかりなので」とカミングアウト。すがるような思いだったようです。
ちなみにここ近年ケプカをサポートするチームはブッチ氏の息子さん、クロード・ハーモン3世氏がスウィングコーチを務め、イングランド出身のピート・コーウェン氏はショートゲーム担当、ジェフ・ピアソン氏がパッティングと分かれています。
「何をしなければいけないかは把握しているのに、うまくできない。自分のフィーリングと実際のクラブポジション、あるいは打った弾道がマッチングしないんです」と常にメディアと本音トークで向き合うケプカは苦しんでいる心の中を正直に告白していきます。
たしかにホンダクラシックでは、石川遼も罠にはまった5番と6番で左への池ポチャミスでスコアを落としていました。持ち球は左から右に曲がるパワーフェードですが、この日は引っかかるミスが多く、ケプカ自身も「集中力が切れているのかメジャー戦ではしないような致命的なミスを出してしまってもったいない」と語っていました。
さて、無事ブッチ氏のもとを訪れ、スウィングをチェックしてもらったケプカ。
「ブッチは私が4球だけ打ったところで2つのことを指摘してくれました。 2つはこれまでクロードが唱えていたこととほぼ同じなんですが、伝えるニュアンスが異なっていて、私にとってはそれが新鮮でとても良かったです」と往復8000キロの旅路にはしっかり収穫があったようです。
御年76歳になるブッチ氏とは、先日偶然にラスベガスでお会いする機会がありました。2年ほど前からツアー選手を現場でサポートするのは引退を宣言をしていて、拠点を置くラスベガスでの「隠居生活」に満足していると話しながらも、現在世界ランキング4位の女子プロ、ダニエル・カンや元世界アマランク1位、今年がPGAツアールーキーのマーベリック・マクニーリーなど若手ゴルファーを指導するのは新鮮だし楽しいと話してくれました。
今週のプレーヤーズ選手権では大会初日と2日目は世界ランク1位のローリー・マキロイ、2位のジョン・ラームとともに世界トップ3の注目組でプレーするケプカ。はたしてどんなゴルフを展開していくのか? スコアやボールの行方だけではなく、ケプカの素振りの動作や表情にも注目して観察してみるとケプカの意図が見えてくると思います。