気持ちよく振り切れたとき、フェース面のどこにボールが当たるかが超重要
新しいドライバーと出会い、フィッティングでおおまかなスペックを決め、「こう打ちたい」「こうなりたい」という自分の想いとのマッチングを経てクラブを購入して、いよいよマイドライバーとしてコースデビュー!
しかし、そこからすぐに昔のサムライが目指した「気・剣・体の一致」へとたどり着けるわけではなく、自分の「気・体」とクラブがペアリングする時間が必要です。今回は具体的なペアリングのやり方についてご説明します。
私の場合は、だいたいドライバーの総重量、使うシャフトの重量帯に硬度、グリップの重量は決まっているので、その中で鉛を使ってペアリングをおこないます。ペアリングの評価は「フェースの芯に当たるか?」なので、ドライバーのフェースは濡れたタオルでぬぐってしめらせ、その上で指でこすって垢を落とし、いつもきれいにしています。そうすると、感圧紙を貼らなくてもボールの打痕はうっすらフェース面に残ります。
生徒さんとのラウンドレッスンの際に、ドライバーのフェースを磨いてきれいにしてあげることもよくあります。とくにクラブのお悩み相談がある場合は必ず行います。みなさんのドライバーのフェースには、ボールの痕が残っていると思うので、これを読み終わったら、まずフェースを磨いてきれいにしましょう!
打痕別、鉛チューンのやり方
ここからは、ケースごとにまとめます。全て、そこそこ「いい感じで振れた」というフィードバックがある時のパターンです。
【1】トウ側に打痕が残る
これはシャフトが動き過ぎていることが考えられます。シャフトの硬度が足りない、とくに先端が弱いのかもしれません。いわゆるトウダウン(インパクト時に、ヘッドの先端部にあたるトウ側が下がる現象)が強く出ると先に当たります。フィッティングのときには力まずに気持ちよく振れていたのが、コースに来るとつい力んでしまうケースが想像できます。これはメンタルで「力まないように振る」のが答えではないです。
〈鉛を貼る位置〉
ヒール側……トゥダウンに拮抗して支えてくれる
【2】ヒール側に打痕が残る
これは逆にシャフトが硬すぎて、トウダウン方向のしなりが少ないときに起こります。シャフトの手元側が硬過ぎる場合も、切り返しから振り負けて手元が浮くので、ヒール側の下目に打痕が付くでしょう。クラブ総重量やシャフト重量も含めてオーバースペック気味の場合は、微調整の範囲での改善は難しいかもしれません。
〈鉛を貼る位置〉
重心アングルの延長線上(机の上などにクラブを置いた際、ヘッドが下がる方向の真下)……振り切れる範囲でトウダウン方向への負荷を大きくして、ヘッドが深く入るよう(適度なトウダウンにより、しっかりとヘッドがボールに届いている状態)にする
【3】フェース上部に打痕が残る
アッパーブローに打てていれば、対策は「ティを低目にする」となりますが、これは上からヘッドが入る人によく見られる傾向です。シャフトのしなり戻りにたくさん仕事をしてもらい、少しでもアッパー気味にヘッドが動いてくれると、結果はかなり良くなります。
〈鉛を貼る位置〉
フェース面の反対側のヘッド後方……深重心のちょい足しをする(これによりシャフト先端のスピードを感じられるようになることも)
【4】フェース下部に打痕が残る
いわゆる薄い当たり。スウィングのミスによるモノでない場合は、シャフトのしなり戻りが強く出過ぎていて、インパクトで手元のイメージよりヘッドが浮き上がっている可能性があります。
〈鉛を貼る位置〉
ヒール側のシャフトに近いところ……まずはヘッド重量を重くしてみる
ネックから10~15センチあたりのシャフト先端部……しなりを抑えるため
【5】全体的にバラける
これはテークバックからトップ、切り返しのタイミングが不安定な可能性があり、手元側の重量をチェックします。グリップ重量が軽い場合もあるので、グリップ交換も視野に入れます。
〈鉛を貼る位置〉
グリップのすぐ下……始動のタイミングをほかのクラブとの違和感がないように整える
【6】スペック的には合っているけど振りにくい
大型ヘッドのドライバーの場合、数値では見えない重さの濃淡の様なモノがあります。同じ重量やスイングウェートで整えても、大型ヘッドのほうが身体から逃げて行こうとするチカラが強く働きます。それと引っ張り合うことで大きなパワーを得るのが、最近のツアー選手の飛ばしの秘訣でもあります。
〈鉛を貼る位置〉
グリップエンド……ヘッドの引っ張りに負けないカウンターウェイト
いずれのケースも、貼る鉛は0.5~1.5グラム程度。2グラム貼るのはかなり稀です。
今回、私は、SIM MAX ドライバーのオリジナルシャフトで1ラウンドして、2回目からはずっと使っていたカスタムシャフトに変更。重心アングル方向に1グラム鉛を貼り深い当たりを求めながらラウンドしていましたが、このときは空振り。
でも、このときの失敗を活かして、3回目はヘッドの鉛をヒール側に動かし減量。グリップ下に1.5グラムくらい鉛を貼ったらテークバックのタイミングが合ってきて、4回目でグリップ下にちょい足しして、グリップエンドに1グラムくらい貼ったら、やっと「気・クラブ・体の一致」の入り口にたどり着きました。
やはりSIM MAX ドライバーは、形状的にかなり逃げて行きたがるので、グリップ下とグリップエンドを重くすることで、ヘッドとの引っ張り合いに負けないアンカーの役割が、自分の「気・体」とペアリングする助けとなったみたいです。
とにかく、ドライバーが上手くなるには、フェースをキレイにしておき、打痕のチェックを毎回行うことをオススメします。私のレッスンを受けるより、安くてはるかに効果があると思います!
写真提供/永井延宏