ダフるなど使いこなすことが難しく、敬遠されがちな「ロングアイアン」。そもそも何番からがロングアイアンなのか。また、ロングアイアンが難しいとされる理由とはなにか。メリットや打ち方についても、まとめて解説。

ロングアイアンとは何番を指す?

アイアンの中でもロフト角が立っていてシャフト長が長く、飛距離の出る番手のことをロングアイアンと呼ぶ。

「何番から何番までがロングアイアンだ」という厳密な定義はとくにない。かつては4番アイアンより上の番手がロングアイアンとされていたが、現代のクラブは一昔前と比べてロフト角が約1番手ほど立つ設定となっている場合が多いので、それも過去の話。ここでは5番より上の番手をロングアイアン、6~7番がミドルアイアン、8番以下をショートアイアンとする。

画像: 現代クラブのロフト設定では、5番アイアン以上の番手がロングアイアンに該当する

現代クラブのロフト設定では、5番アイアン以上の番手がロングアイアンに該当する

多くのアマチュアにとってロングアイアンは「飛ばない難しいクラブ」という認識だろう。とくにロフトが立っているぶん高さが出にくいのがネックだ。ウッド類に比べてヘッドが小さいので芯が狭く、なおかつクラブ自体の長さもあるためダフるなど、番手通りの高さや飛距離を出すにはスウィングの正確性とヘッドスピードがより求められるクラブと言える。

クラブの歴史をみても、かつてはアイアンのラインナップは1番からだったが、ボールが柔らかくスピン量の多い糸巻きから、反発が強くスピン量も少ないソリッドボールに変わったことで、ロフト角15度程度ではボールが上がりにくく、飛ばないで扱いづらいことから徐々に市場から淘汰されていった背景がある。

次いで同じ理由で2番アイアンが、さらには3番アイアンが姿を消していき……という具合で、近年メーカーが発売するアイアンセットは5番から、それよりも上の番手はラインナップされていてもバラ売りのみ、というケースが多い。

画像: かつては多くのプロが2番アイアンを採用していたが、現在では数も少なくなった

かつては多くのプロが2番アイアンを採用していたが、現在では数も少なくなった

さらに、ロングアイアンのロフト帯である17〜23度に相当するユーティリティやショートウッドが浸透したことも大きい。

ユーティリティに関してはアイアンの形状を保ちつつ、ヘッドサイズを大きくすることによって重心位置を深くして、ボールを上げにくい、ミスに弱いというロングアイアンの欠点を解消したアイアン型、ウッド形状でよりヘッドサイズが大きくなり、ボールが上がりやすさが増したウッド型の2種類がある。いずれの形のユーティリティも重心位置が深くできるぶんミスに強く、ボールも上がりやすく飛距離も出るのがメリットだ。

画像: ロングアイアンに相当する番手として、ユーティリティが採用されることが多くなった。写真のように25〜27度の5番アイアンのロフト帯をカバーするユーティリティも増えている(写真左がウッド型、右がアイアン型)

ロングアイアンに相当する番手として、ユーティリティが採用されることが多くなった。写真のように25〜27度の5番アイアンのロフト帯をカバーするユーティリティも増えている(写真左がウッド型、右がアイアン型)

加えて、ロフト角を通常よりも立たせて飛距離性能を高めたストロングロフトアイアンの台頭も相まって、アイアンは6番から、あるいは7番からというセッティングも今では一般的となりつつある。

実際に女子プロでも6番から、7番からという選手はザラで、ロングアイアンが担っていた飛距離はユーティリティやショートウッドで埋めている。アマチュアに比べて技術的にはるかに上のプロゴルファーがそうなのだから、我々がロングアイアンの扱いが難しいと感じるのはむしろ当たり前と言えるだろう。

ユーティリティと比べてロングアイアンのメリットは?

同じロフト帯ならば、やさしさという点で言えばロングアイアンよりもユーティリティ、ショートウッドに分がある。アイアンよりヘッドサイズが大きく、重心を低く、深くしやすいため、ボールを上げやすくミスにも強く、飛距離も出しやすいからだ。

ではロングアイアンを採用するメリットは何かと言えば、まず番手の流れを作りやすい点。ユーティリティ、ショートウッドを採用する際は、ミドルアイアンと振り心地を揃え、飛距離のギャップができ過ぎないように気を配る必要があるが、同モデルのロングアイアンを採用すれば自然と理想的な“飛距離の階段”を作ることができるだろう。

また、ボールの高さをコントロールしやすいのもロングアイアンのメリット。とくに風が強く吹く日だと、ユーティリティ、ショートウッドの上がりやすさがデメリットとなるが、ロングアイアンの場合は高さを抑えてライン出ししやすい。

もちろんスピンのかかりやすさもロングアイアンに軍配が上がるので、球筋のコントロールや落としどころの計算がしやすいのもメリットと言えるだろう。

ロングアイアンは採用すべき?

では、ロングアイアンははたして採用すべきなのか。結論から言えば、一般的なアマチュアゴルファーや、ビギナー、100を切りたいレベルのゴルファーは「無理に使う必要がないのがおすすめ」というのが答えだ。

ロングレンジを狙っていく番手であれば、ライン出しのしやすさや球筋のコントロール性よりも、なるべくミスなく高い球でボールを運べるのが最優先。なので、迷わず飛距離の出るユーティリティ、あるいはフェアウェイウッドを選ぶべきだろう。

ロングアイアンも技術の進歩によって、一昔前の薄いソールのアイアンより格段にボールが上がりやすくなっているとはいえ、ダフる事なくある程度スウィングの正確性やヘッドスピードに自信があり、なおかつターゲットをタイトに狙っていきたい上級者向けのおすすめクラブと言って差し支えないだろう。

ロングアイアンの打ち方は?ボール位置は

ロングアイアンを打つ際、一番大切なのは入射角がゆるやかであること。ロフトが立っていてボールが上がりにくいため、入射角が鋭角だと適切な高さを出すことができないからだ。

当然クラブが長く、ボールとの距離が遠くなるので、正しく構えられていれば強く意識せずとも入射角はゆるやかに、スウィング軌道はフラットになる。そのため、ミドル、ショートアイアンから意識的に打ち方のスウィングを変える必要はないだろう。

ボール位置は、7番アイアンの場合、スタンスの中心からやや左よりに置くが、ロングアイアンはそれよりもボール半分から1個分左側に置くのが良い。スタンスの中心よりも左側にボール位置があるほど入射角はゆるやかになるからだ。

画像: ロングアイアンの場合は、ボール位置は体の中心よりボール半分から1個分左側に置こう

ロングアイアンの場合は、ボール位置は体の中心よりボール半分から1個分左側に置こう

打ち方の目安としては、素振りをした際にインパクト位置でターフが取れず芝を擦るくらいの位置がベストなボール位置だ。

続いてボールと体の距離を適切にするには、前傾姿勢を取り、両腕を脱力させてダランと手を垂らしてみよう。そのとき自然に作られる手首の角度や位置が理想的なアドレスの手の位置なので、そのままの形で体の中心よりもわずかに左側でクラブを握り、ソール(地面に着ける)した位置が自ずと正しいボールと体の距離となる。

スウィングする際は、とくに体の軸を左右に動かさずに打つことを心がけよう。飛ばないので距離を出そうとして軸がブレてしまうと、ミート率が下がってナイスショットの確率は下がってしまう。スウィング時の体の軸を意識するには、両足をくっつけてスタンス幅をゼロにした状態でボールを打ったり、頭の位置を動かさずに素振りをする打ち方がおすすめだ。

画像: 両足をくっつけた状態でスウィングすることで、体の軸を意識しやすい

両足をくっつけた状態でスウィングすることで、体の軸を意識しやすい

繰り返しになるが、ビギナーや100切りを目指すレベルのゴルファーであれば無理をしてロングアイアンを使う必要はまったくなく、同じく飛距離の出るユーティリティを使うのがおすすめ。だが、使いこなすことさえできれば強力な味方なのは確かだ。安定して100、90を切るようなゴルファーが、さらなるスコアアップのための次の一歩を踏み出す際は、ロングアイアンに手を伸ばしてみてはいかがだろうか。

以下の各記事でアイアンの種類ごとに紹介しているのでぜひご覧ください。初心者の方にも参考になりますよ。

4番アイアンとは?詳しく解説

6番アイアンとは?詳しく解説

アイアンの選び方など全体のまとめはこちら

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