選手が自立するほどコーチの役割は減っていく
コーチと選手、上司と部下の理想の最終形は、教える側がそばにいなくても本人が100%のパフォーマンスを出せるようになることです。
その最終形を目指すには、一緒に取り組む中で選手が自立をしていかなければなりません。
もちろん守らなくてはいけないルールやスウィングの基礎が分からない小中学生や初心者には、手を添えて伴走していきます。
でも選手が自立していけば、僕は教える回数を減らし、彼らが答えを導けるようにサポートする側に回ります。
一般的には、選手の技術レベルが上がれば、より高度なことが理解できるようになり、コーチの教える回数が増えると思われがちです。
でも実際は真逆。
「【1】課題を見つける→【2】考える→【3】答えを出す→【4】やってみる」の自立サイクルができてくれば、コーチがサポートする場面は徐々に減ってきます。
これは、ビジネスゾーンでよく使われる「PDCAサイクル」(計画、実行、評価、改善を繰り返し業務の効率化を目指す方法)に似ているかもしれません。でも、このサイクルの型にはめるように選手を導いてはいけません。
なぜなら「この通りにやれ」と指示した時点で、選手の自主性を奪っていることになるからです。
そして、なにより型にはめてやるのは、選手もコーチも面白くありません。どうせやるなら楽しいほうがいいですよね?
選手が自立のレールに乗れば細かい技術は後からついてくる
彼らの練習が「PDCA」の型や順番になっていることは重要ではありません。選手なりにアレンジしたり、途中の過程をすっ飛ばしてもOKです。
最初のうちは【1】や【3】のサポートを寄り添って一緒にやっていきます。そのうちに【2】や【4】ができるようになっていく。
自立をサポートした結果、【1】から【4】が自然にできるようになっているくらいのイメージを持つといいでしょう。
選手の成長に伴い、コーチの役割は減っていきます。でもそれは教えることがなくなるのではなく、本人が課題を見つけられるようになっているから。
理想は僕がいなくても、問題を解決し道を切り拓いていけるようになることです。コーチや親、上司がそばにいないと発揮できない能力は、習得しているとは言えません。
できることが増えれば、より高度なことを教えたいと思うのが親心。でもそんな時こそ、彼らが自分で次のステップにいくのを見守ってあげましょう。
学ぶことは無限にある。でも彼らが手を添える回数は減っていくのです。
「打ち方は教えない。」(ゴルフダイジェスト社)より