昨年ツアールーキーながら全英女子オープン制覇という快挙を成し遂げ、賞金女王争いも繰り広げた渋野日向子。そんな彼女をサポートしているコーチ・青木翔は「計測機器をあえて使わない」という。自身の著書「打ち方は教えない」からその理由を紹介!

僕があえて計測機器をあえて使わない理由

ここ数年ゴルフ界では、計測機器やそこから算出された数値の分析が、急速に発展してきました。ビジネスシーンでも組織のパフォーマンスを上げるため、従業員エンゲージメント(関係性)を数値化して、分析、改善するのが一般的になっています。

これからは教育の現場でも、数値を使って分析することが増えてくるでしょう。

目には見えないものを数値化して原因分析することは一つの方法ですが、それは万能ではありません。

画像: 渋野日向子のコーチは計測機器をほとんど使わないのだという(写真は2019年のLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 撮影/岡沢裕行)

渋野日向子のコーチは計測機器をほとんど使わないのだという(写真は2019年のLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 撮影/岡沢裕行)

僕のレッスンでは、計測機器をほとんど使いません。先に言うとなぜか言い訳っぽさが際立ちますが、使わないわけではなくあえて使っていません(笑)。

それは数字を正しいものに合わせにいっても、スコアアップや勝つゴルフには結びつかないからです。

数字は嘘をつきません。事実を客観的に見せてくれる。だから「数字を適正なものに合わせていれば、正しい形になる」という理屈は、一見答えを導いてくれるように感じます。

数字合わせだけでは答えは見えてこない

ゴルフの計測機器は、実に多くのデータを示してくれます。ヘッドスピードはもちろん、バックスピン量に打ち出し角、打ち出し初速、サイドスピン量などなど。ただし、これらの数値をすべて見て適正値に近づけていくことは不可能です。

本番で結果を出すために必要なのは、考える力。その状況で何をすれば、一番いい結果が出るかを考える能力です。

これを練習から意識していれば、どんな状況でもその時の最善の答えを導けるようになります。

答えに合わせるのではなく、プレーする選手自身が答えを探し、決めるのです。

ただ、なかには「数」という客観的なもので説明をされるほうが、納得感を得やすい選手もいます。彼らには裏付けとして数値を提示します。

「君の考えていることは、バックスピン量を見ても〇〇という裏付けがあるから間違っていないよ」

こんなふうに数字を使って伝えてあげると、自身を持って取り組めるようになる選手もいます。

これまで何百万球を打ってきたプロでも、さまざまな要因でスウィングにズレが生じます。

その時に、数字を合わせる表面的な対策をするのか、自ら考えて最善の答えを導くかで、その後
の成長が大きく変わってくるのです。

「打ち方は教えない。」(ゴルフダイジェスト社より)

電子版はこちら!

This article is a sponsored article by
''.