コーチとして目指すのは「自走人生」を歩んでもらうこと
選手に「考える力」の重要性を伝えているのは、単に「ゴルフが上手くなるから」という理由だけではありません。
僕は教え子たちが社会に出たとき、彼らにとって役に立つものを遺したいと考えています。
ゴルフの技術はラウンドをするときにしか役に立ちませんが、自ら課題を見つけて解決する力や、礼儀作法などは豊かな人生を歩むうえで欠かせないものです。
プロゴルファーになり、さらに試合に出て賞金で生活できる選手はほんの一握りしかいません。多くはゴルフを職業にすることなく、会社員になったり、自分で事業をして生活をしていくことになるでしょう。
そうやってゴルフから離れたときに「あぁ、青木さんにゴルフを習っていて良かったな」と思ってもらえたら、こんな幸せなことありません。
コーチとして教え子がプロテストに合格するというのも当然嬉しいことではありますが、進路に迷っていた子がゴルフ以外の道を自ら選択したという報告を受けたときも、同じくらい嬉しいものです。
レッスンを受けに来る人たちは、当然ゴルフが上手くなりたくないと思ってやってきて、僕をゴルフコーチとして雇う。でも僕は人として成長させるために雇われたと思っています。
だから職業は「ゴルフのコーチ」ですが、スウィング技術を身につけさせることがゴールではありません。
目の前の答えよりその解決方法に注目する
壮大なお節介かもしれませんが、ゴルフを通して考える力、問題を解決する力を学び、成長する喜びを知ってほしいのです。
僕はゴルフを教えるとき、そんなことを大切にしています。
親や上司といった教える立場の人は、目の前の課題解決だけでなく「彼らの人生でどんな役に立つか」と一歩引いて考えると、より深い学びにつながるはずです。
また教わる立場の人は、解決方法や答えを導く考え方に着目すると、ただ答えを理解するだけでなく、別の機会にも使える学びにつながるでしょう。
それが積み重なることで、学び手は自ら問題を考え解決できる「自走人生」を手に入れられるのです。
「打ち方は教えない。」(ゴルフダイジェスト社)より