7月6日に発表されたプロギアの最新モデル「RS5」シリーズと、アイアン専用のニューブランド「プロギアアイアンズ」シリーズ。それぞれどのような性能を持つクラブなのか、ギアオタク店長ことクラブフィッター・小倉勇人に、RS5ドライバー3モデルとプロギアアイアンズの2モデルを試打・解説してもらった。

RSシリーズの5代目が登場

7月6日、プロギアのメインブランドのひとつであるRSシリーズの最新モデルである「RS5」、そしてアイアン専用のニューブランド「プロギアアイアンズ」が発表された。

画像: RSシリーズの最新モデル「RS5」のドライバー3モデルと、ニューブランド「プロギアアイアンズ」のアイアン2モデルを、クラブフィッター・小倉勇人氏に最速試打してもらった

RSシリーズの最新モデル「RS5」のドライバー3モデルと、ニューブランド「プロギアアイアンズ」のアイアン2モデルを、クラブフィッター・小倉勇人氏に最速試打してもらった

今までRSシリーズのキャッチコピーは「ギリギリ」。ルール範囲ギリギリの反発係数を追求し、前作ではそのギリギリの数値のエリアをフェース面上で広く作ることで高い飛距離性能を安定して打てる性能を実現していた。

今回のRS5では、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティとウッド系のラインアップが一新され、とくにドライバーに関しては安定の飛距離性能に加えて「快心の一撃性能」をプラスしたという。これは今までのギリギリの広いエリアの反発係数を維持しつつ、もっとも反発するポイント、フェース面上の重心点、フェースの最大たわみポイントをすべてフェースセンターに揃うように設計。この一点で打つことで一発の飛びが期待できるという。

ドライバーのヘッドは3タイプ。それぞれがタイプの違うゴルファーのドライバーに対するニーズに応えた設計になっている。ヘッドはもちろんだが、シャフトにも非常にこだわっていてそれぞれのモデルに合わせて専用設計している。しかも3モデルをそれぞれ設計するだけでも結構な手間なのに、ヘッドの特性、性能に合わせてわざわざシャフトメーカーごと変えている手の込みようだ。

まずRS5シリーズのスタンダードといえる「RSドライバー」はつかまりが良く高弾道で飛ばせるモデル。重心を深くしつつ、重心角を大きくすることで自然とつかまるよう設計されている。シャフトは三菱ケミカルとの共同開発のディアマナブランドだ。

「RS Fドライバー」はアスリートをターゲットとしたしっかりと叩いていける強弾道のモデル。やや面長のシェイプに重心を浅めにし、しっかりとつかまえに行けるように重心角も小さめに設計されている。シャフトはグラファイトデザインとの共同開発のツアーADブランド。

「RSプラス」はRSドライバーを軽量に仕上げつつ、シャフトを少しだけ長くすることで振りやすさと飛距離を追求したモデル。シャフトはフジクラと共同開発したスピーダーエボリューションブランドのモデルが装着されている。

3モデルをしっかりと作り込んできた印象のあるRS5シリーズ。実際それぞれのモデルはどんな弾道を見せてくれるのだろう。早速試打クラブをお借りし、クラブフィッターの小倉氏に試打レポートをお願いした。

「RS」は構えやすくて球が強い

まずはRSドライバーの構えた印象から聞いてみよう。

「RSドライバーは、構えたときに投影面積が広めで安心感がありますね。フェースはヘッドのちょうど真ん中にあるように見え、ヘッドシェイプもフェース中央の真後ろにボリュームの頂点があるように見えてとても自然です」(小倉氏、以下同)

画像: RSドライバー

RSドライバー

打ってみると「自然とヘッドがターンしてくれる感じで、しっかりとボールがつかまります」と小倉氏。

「弾道はとても強いですね。スピンが少なめでライナー性の前に飛ぶ弾道が打てます。シャフトはヘッドが走る感じを実感できるしなりが多めの味付け。タイミングはとりやすいですが、強振する方ならしっかりしたフレックスを選ぶほうが良いですね。打感は弾き感がありつつもボールがフェースに乗っている感触もあり、とても気持ち良いです。打音も適度な音量の余韻がある乾いた金属音で爽快感があります。高さもきっちりと出せるのでスライス系のミスが多い方はかなりの飛距離を期待できると思いますね」

「RS F」は左のミスを恐れずに叩ける性能

続いてRS Fドライバーはどうだろう。

「RS Fドライバーは、構えたときに形状からしっかり振って大丈夫ですよ~って言ってくれている感じ。RSドライバーと比べて奥行きが狭くなり、その分左右にボリュームが足されたいわゆる面長な形状になっています。比較的左右均等なシェイプで個人的にはとても構えやすいです」

画像: RS Fドライバー

RS Fドライバー

その弾道も印象通り「狙ったところに打ち出しやすく、つかまり過ぎない弾道です」と小倉氏。

「弾道はRS同様、低スピンでライナー性の前に飛ぶ感じ。シャフトもゆったりとしなるフィーリングで左に行かなそうな安心感があります。適度に動きはあるので、それほどパワーがなくても扱えそう。左のミスが嫌いなゴルファーであれば、試す価値のあるモデルですね」

「RSプラス」は軽量だけど頼りなさのないシャフトがいい

RSプラスドライバーについても聞いてみよう。

「RSプラスドライバーの基本形状はRSシリーズと共通です。安心させてくれるやさしい顔ですね。打ってみるとつかまりはRSと同様、ちゃんとつかまります。弾道もライナー性の強い弾道が安定して打てますね」

画像: RSプラスドライバー

RSプラスドライバー

見た目上はRSドライバーと大きな差はないが、最大の違いは「振り味にあります」という。

「シャフトが軽くしっかりしていて軽い力でも振りやすく、強振してもつぶれないでしっかりついてきてくれるので安心して振り回せます。まさに快心の一撃を狙うのにピッタリなモデルかなと思いますね」

小倉氏はRS5ドライバー3モデルをそれぞれ打ち、こう評価する。

「基本テクノロジーがしっかりしていて、各モデルに明確な個性が光る今回のRS5シリーズは、自分のニーズに合わせて選べば、かなり満足できるモデルを手に入れることができると思います。できれば3タイプとも試打していただき、その違いと高い性能を実感してもらいたいですね」

アイアン専用のニューブランド「プロギアアイアンズ」はどんな性能?

RS5シリーズはウッド類のみのラインアップで、過去のRSシリーズにあったアイアン以下のモデルは存在しない。その代わりとして新たに発表されたのが、アイアン専用のニューブランド「プロギアアイアンズ」だ。

後述する性能や、そのターゲット層を考えると従来のRSシリーズのアイアンの後継に当たるモデルと言えるが、わざわざブランドを独立させたのには理由がある。アマチュアのアイアンの使用期間は比較的サイクルの早いウッド類に比べ長いため、ウッド類とアイアンを分離することでより長く自社のアイアンを愛用してもらいたいとの想いを込めて分類したのだそうだ。

プロギアアイアンズのコンセプトは「アイアンに求められる性能を追求したフラッグシップアイアン」。アイアンとしてのモデルは2機種ある。

一つ目のモデルが「01(ゼロイチ)アイアン」。軟鉄のボディとフェースを別々で鍛造し、ボディとフェースの間に比重の軽いチタンを挟みこんで高圧でさらに鍛造するといった凝った構造を採用。そうすることでマッスルバックのような隙間のない厚みのあるヘッドで打感の良さを演出しながら、外側に重みが配分された芯を外してもヘッドがブレにくいキャビティバックのような効果を持つモデルとなっている。ロフト設定は7番で31度だ。

画像: 01アイアン

01アイアン

二つ目のモデルは02(ゼロニ)アイアン。こちらは、ボディには軟鉄、フェース周りにはマレージング鋼を採用したポケットキャビティモデル。フェースの下部側をL型のカップフェース構造を採用し、さらにフェース下部裏側に溝を掘ることでフェース下部の反発性能を大幅に高めている。ロフト設定が7番で29度とやや立ち気味に設計されており、打点のミスに強く、飛距離を追求したモデルとなっている。

画像: 02アイアン

02アイアン

「01、02とも非常に凝った構造で高い技術力を誇るプロギアらしいモデルで、使われている技術はどれも先進的です。同社のパーツモデルである『プロギアチューン』で試験的に近い技術が搭載されていたのですが、すでに数多くのデータを採取、分析されたのでしょう。さらに洗練された印象です」

さらに、どちらのモデルともつながりの良い「0(ゼロ)ウェッジ」が単品モデルとして用意されている。試打ではアイアン2モデルの仕上がりを、小倉氏にたしかめてもらった。

ちょうど良いやさしさが「ゼロイチ」、ちょうど良い飛びが「ゼロニ」

「01アイアンは、ヘッド全体が柔らかな丸みを持った柔らかな形状。適度なサイズ感でやさしそうな印象を与えます。打ってみると、かなりキャビティ感があります。かなり芯を外してもヘッドがブレる感触はほとんど感じません。飛距離ロスも少なく、安定して一定のエリアにボールを運べました。打感は柔らかめで非常に気持ち良く、打っていて楽しかったですね。操作性も適度に持ち合わせていて、上手くなりたいけど難しいアイアンは嫌だというわがままな上達志向の強い方や、ある程度技術は持っているけどやさしいアイアンが使いたいといった贅沢アスリートなどのニーズにピッタリなモデルですね」

一方の02アイアンは「柔らかな丸みを持ったフォルムは01と同様ですが、ややブレードが長めになっていてより直進性を高めたモデルであることが見て取れます。ブレードが長いほどフェースが大きくでき、重量配分が広くできますからね」と小倉氏。

「打ってみると01と比べるとややソリッドですが適度な弾き感のある心地よい感触でこれもまた気持ち良いですね。弾道は01より2度ロフトが立っているのですが、打ち出し角や最高到達点は01とほぼ同じかそれ以上の高さが出ます。飛距離的には1番手ぐらい02のほうが飛びますね。直進性が非常に高く、アマチュアに多いフェース下側のミスにも強いので01よりさらに安定してボールを飛ばすことができますね。長さは02の方が01より0.25インチ長いですが、それでも7番で37インチと標準的な長さ。長さによるヘッドスピードの増大を狙わず、ヘッドの性能とミートしやすさで安定感と飛距離を作り出しています」

プロギアアイアンズ2モデルを打ち終わった小倉氏は、こう総評する。

「どちらのアイアンもミスには強いのですが、つかまりを強くしたり、操作性を強く高めたりといった個性を強くしたモデルではありません。01はアスリートを中心としたニーズ、02はアベレージど真ん中のニーズをしっかりと、そして幅広く応えた欲張りなアイアンに仕上がっています。上達志向があるなら01、長く楽しくそして楽にゴルフをしたいと考えるなら02は絶対に候補になりますね」

プロギアが掲げる“リアルスポーツ”を新たな地点へ昇華したRS5とプロギアアイアンズは、両シリーズとも8月7日発売予定。ぜひ打ち比べてみてはいかがだろうか。

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