昨年ツアールーキーながら全英女子オープン制覇という快挙を成し遂げ、賞金女王争いも繰り広げるなど飛躍的な成長を遂げた渋野日向子。そんな彼女をサポートし、渋野を“しぶこ”と呼ぶコーチ・青木翔のレッスンの練習メニューは「10ヤードのアプローチ」が大半を占しめているという。どんなレベルの選手も基礎練習を続ける理由とは?自身の著書「打ち方は教えない」から教えてもらおう。

しぶこが1年中基礎練習をやり続ける理由

僕のレッスンの練習メニューは、「10ヤードのアプローチ」が大半を占めます。

ジュニアからプロまで、どんなレベルの選手でも変わりません。

それはスウィングの基礎が、すべてそこに詰まっているからです。

「またこれやあ。また戻った!」

どこに行ってもついてまわるアプローチ練習に、しぶこはたびたびこんなグチをこぼします(笑)。

画像: ツアー会場でも渋野は基礎であるアプローチ練習をしている(写真は2019年の日本女子オープン)

ツアー会場でも渋野は基礎であるアプローチ練習をしている(写真は2019年の日本女子オープン)

剛ラフに苦しんだ日本女子プロゴルフ選手権でも、多くの選手がラフからのショットを練習する中、しぶこだけ平らなライから短い距離のアプローチを繰り返し練習していました。

「こんなどこでもできる練習を、なんで今!?」

なんて心の声が聞こえてきそうでしたが、ラフからのショットはあくまでも枝葉の技術です。

慣れないラフから打って、基本の形を崩してしまうより、状況が変わってもブレない上台を作ることが大事だと判断しました。

基礎はすべての技術の土台になるものです。みんな、頭ではそれを分かっているはずですが、実際に練習するのは枝葉の技術ばかりです。

すべての技術は基礎の枝葉に過ぎない

ドライバーが苦手な人はドライバーを練習するし、アイアンが苦手だなと思ったら一通りの番手をまんべんなく打つ。あなたはこんな練習になっていませんか?

それではなかなか、技術は身につきません。基礎練習をしてこそ、その延長線上にある技術がどんどん肉づけされていくのです。

枝葉の技術を練習していて、それが突然習得できるということはまずありません。

基礎となる技術は、練習をしないと徐々にできなくなってしまいます。残念ながら自転車のように、1度乗れたらいつでも乗れるものではありません。

画像: 手取り足取り教えるだけがコーチではなく、一歩引いて見守ることもコーチの大切な役割

手取り足取り教えるだけがコーチではなく、一歩引いて見守ることもコーチの大切な役割

基礎練習をやり続けているから、今、できているのであって、それを怠ればとたんに技術は逆戻りしてしまうでしょう。

上達するにつれ、選手は「もう基礎はできた。次のステップに進んでいいだろう」と考えます。それを戻してあげるのもコーチの大事な役割なのです。

基礎練習の繰り返しは、面白いものではないかもしれません。だからこそ頭の中で失敗や成功の原因を、1回ごとに考えながらやってみてください。ただのアプローチも変化がつき、成長の植も得られるようになるでしょう。

「打ち方は教えない。」(ゴルフダイジェスト社)より

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